本日は、いわゆる企業損害についてです。
 企業損害とは、企業の取締役や従業員が、交通事故を原因として、死傷してしまったときに、その人が就労・稼働できないことで当該企業に発生した損害のことをいいます。
 たとえば、ある会社の技術者が、交通事故によって、数か月入院を要することになり、その技術者にしか作れない製品の製造が不可能になってしまったことで、会社に多大な減収を与えたとします。こういった場合に、会社はその損害を事故の加害者に対して請求して、賠償が認められるのかという問題があります。

 多くの裁判例がありますが、このような企業損害は相当厳格な要件のもとでしか認められていないのが現状です。
 主たる要件としては、会社と被害者の経済的な一体性があることや、当該被害者が業務上代替可能性がない(代えのきかない)人であることが重要な要件であるとされています。経済的な一体性の具体的な判断基準としては、会社の企業規模や営業内容、会社と当該被害者財産的な結びつきの程度等を詳細に検討して判断されることになります。
 先の例であれば、当該技術者が単なる一従業員だとすると企業損害として認められにくいでしょうし、また、役員等であっても会社の規模等を詳細に検討して経済的一体性を判断することになります。

 企業損害は難しい問題が多くありますので、お困りでしたら弁護士に気軽にご相談ください。