1.はじめに

 皆様、こんにちは。
 今回は、後遺障害申請にあたり必須の書類である後遺障害診断書について取り上げてみたいと思います。

 交通事故に遭って負傷してしまった場合、迅速で適切な治療を続けることにより事故前と同じ身体・精神の状態に戻ることもありますが、不幸にも身体や精神の不具合が残ってしまうこと(いわゆる後遺症が残ること)があります。
 治療を続けても身体・精神の不調が残ってしまった場合、後遺障害等級認定をしてもらうという手続があります。
 後遺障害診断書はこの後遺障害等級認定の手続における必須の書類なのです。

2.後遺障害診断書の重要性

 後遺障害等級認定にあたっては、基本的には、診断書や後遺障害診断書などの書面をもとに後遺障害として認定できるか審査が行われます。つまり、基本的に書面審査なのです。
 この書面審査にあたって、後遺障害診断書にどのようなことが記載されているかは重視されており、後遺障害診断書の記載内容によっては、後遺障害として認定されるべき後遺症が残っていても、認定が適切になされないという事態も起こりえます。

3.医師の先生なら皆が後遺障害診断書の書き方を知っているのか!?

 後遺障害診断書は、担当医の先生が作成するものですが、全ての医師がこの後遺障害診断書の書き方を知っているというわけではありません。
 というのも、この後遺障害診断書というのは、正式には、「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」というものであって、いわゆる自賠責保険特有の診断書だからです。
 そのため、整形外科医等として何人もの患者を扱ってこられた担当医の先生でも、交通事故に遭われた被害者の方をあまり診察したことがないという場合には、後遺障害診断書の書き方をあまり知らないということも十分あり得ます。

4.後遺障害診断書の差で・・・

 例えば、骨折後に足首の可動域が制限された場合には、後遺障害診断書上、骨折した足首(患側といいます)に可動域の制限があることを示すために、骨折した患側の足首と骨折していない健常な足首(健側といいます)の可動域を検査する必要があります(足首が角度として何度くらい曲がるかを検査するということです)。
 この可動域検査がないために、本来、可動域の制限のために後遺障害として12級として認定されるべき症状が、それより低い14級として認定されたり、不幸にも後遺障害非該当として認定される可能性も出てきてしまいます。

5.最後に

 被害者の方が交通事故によって受けた損害について適正な補償を受けるためには、後遺障害として等級認定されるかどうかも重要になってきます。
 担当医の先生だからといって、適切な後遺障害診断書の書き方まで知っているというわけでは必ずしもないので、遅くとも、後遺障害診断書を書いてもらって保険会社等に提出する前に、交通事故に詳しい弁護士に見てもらった方がいいと思います。