もっとも、そのようなケースで、道路管理者の責任が認められる可能性は決して高くありません。
 平成12年10月31日付の最高裁判所の判決では、エゾシカが高速道路に飛び出してきて自動車が破損したというケースで、道路管理者の責任を否定しました。すなわち、この事件の控訴審で、運転手が十分な注意および原則を行えば事故を回避できたとして、道路管理者の責任が否定されたところ、最高裁はこれを支持する結論を出したというわけです。
 具体的な状況下で結論はもちろん変わり得ますが、動物の飛び出し対策の不十分さを根拠に道路管理者の責任を追及するのは決して容易でないと考えた方がよさそうです。