しかし、ぶつかった、あるいは避けようとして事故になったとしても、相手の動物が野生のものであれば、話は全く異なります。どんなに動物の飛び出しが急だったとしても、飼い主がおらず、動物自身が賠償責任を負えない以上、基本的には全て自損扱いとなってしまいます。
同乗者がケガをしたような場合には、対人賠償保険が使える可能性もありますが、車両保険や人身傷害保険に加入していない限り、原則として損害の填補を受けるのは困難でしょう。

 例外的に、第三者の賠償責任を追及する場面としては、道路の設置管理者への営造物責任に基づく損害賠償の請求が考えられます。動物の道路への飛び出しによる交通事故というケースに沿って考えると、たとえば山中を切り崩した道路で、それまでも頻繁に動物との接触事故が生じていたにもかかわらず、「動物飛び出し注意」の看板を設置せず、あるいは防護柵等を適切に構築せず漫然と放置た・・・等といった場合が考えられると思います。