こんにちは。今回は、事故により車が全損してしまった場合、車両価格の算定をどのように行うかをお話ししたいと思います。
交通事故によって車が毀損した場合、修理が可能な場合は修理費用が損害になります。修理費用は、必要かつ相当な範囲に限定されるので、例えば事故前にすでに壊れていた部分をついでに修理しても修理代は支払われませんし、また、事故前よりも高価な部品を使用して修理代を請求しても損害とは認められません。
次に、修理は可能だとしても、修理費用が事故車両の事故当時の車両価格に車検費用や車両購入諸費用等を含めた金額を超えるときは、経済的に修理が不能とされ(東京地裁判決平成14年9月9日)、中古車ならば、事故車の事故当時における取引価格が損害額となります。
なお、事故当時の取引価格は、原則として、事故車と同一車種、年式、同程度の使用状態、走行距離等の自動車を中古車市場で取得するための価額車両価格の古車市場価格によって定められ(最高裁昭和49年4月15日)、その価格を算出する資料として利用されるのが「オートガイド自動車月報」いわゆる「レッドブック」というものです。
レッドブックは車の種類に応じて4冊に分かれています(①商用車(トラック、バス)② 国産乗用車③ 軽自動車(軽四輪車、二輪車)④輸入自動車)。そして、①及び③が隔月発売、②及び④が毎月発売となります。
では、目的の車両価格が最新のレッドブックに載っていない場合は、どのように車両価格を算定すれば良いのでしょうか。
それは、目的の車両価格が掲載されている直近のレッドブック(仮に今年の6月号とします)。を見つけ、その号よりも以前に掲載されている号(仮に今年の4月号とします)との差額を期間で割り、直近のレッドブックに掲載されている車両価格から算出したい月までの期間に相当する価値を引くことによって求めることになります。
例えば、事故が今年の7月にあり、6月号のレッドブックでは100万円、4月号では120万円とされていた場合、2か月で20万円減額しているので、1月で10万円ずつ車の価値が減少していることになります。したがって、今年の7月時点での車の価値は、100万円から10万円を引いた90万円ということになります。
なお、レッドブックで計算した取引価格があまりに低額の場合は、新車の1割程度の額を損害として認めてくれる場合もあります。