1 車両の時価額とは?

 交通事故によって車両が損傷してしまった場合、修理費用と時価額・買替諸費用の合計とを比較し、修理費用が同合計を上回る場合、時価額・買替諸費用の限度で損害が認められます。

 では、時価とはなんでしょうか。この点、判例は、「同一の車種、年代、型、同程度の使用状態、走行距離等の自動車を中古車市場において取得するに要する価額によって定める」と判示し、時価=市場での取引価格であることを明言しています。(最判昭和49.4.15)。

2 車両時価額の調査・立証方法

 車両時価額については、実務上、『オートガイド自動車価格月報』(レッドブックと呼ばれています。)が利用されることが多いです。

 あまり馴染みがありませんが、他に、シルバーブック、イエローブックと呼ばれるガイドブックが利用されることもあります(シルバーブックは自動車査定協会に連絡すれば有料でコピーを送ってくれるサービスがあるようです)。

3 レッドブック等に掲載されていない場合

 では、レッドブック等に掲載されていないような年式の古い車の時価額はどうやって調査したら良いのでしょうか。

 様々な方法がありますが、①インターネットの中古車販売サイトで、車種・年式・走行距離が近い車両の取引価格の平均をとる②レッドブック等の最終掲載価格から経過年数によって適宜減額する③減価償却法をとる等の方法が考えられます。

 車両時価額については、実務上、争いになることが非常に多く、相手方保険会社の提示額に納得がいかない場合等には、弁護士に相談されることをお勧めします。