交通事故の結果、骨折等のけがを負った場合、治療のために外科手術を行い、その傷跡が残ることがあります。この時の傷跡は、事件処理の中でどのように扱われるのでしょうか。

 裁判例においては、慰謝料の金額を決める際の事情の一つとして、けがの治療のために傷跡が残ったという事実を評価する方法が取られているものがあります。ですから、事故が直接に傷跡の原因となったわけではないとしても、治療痕が残ったことも賠償請求において主張する方が良いと考えられます。

 ただ、治療痕のみを取り上げて慰謝料の算出根拠としている例は、今のところ見つからなかったので、金額の決定に寄与する割合や増額幅の検討は難しそうです。

 治療痕が後遺障害に該当するかについては、肯定的に解されているようです。治療痕により醜状の後遺障害が認定される可能性が考えられるのであれば、後遺障害等級認定の申立てを行うことを検討されるのもいいかもしれません。