皆様こんにちは。弁護士の菊田です。

今回は、遺言書が2つ出てきた場合のお話しです。

遺言については、1つしか存在せずとも紛争の原因になりうるものです。

これが2つ出てきたとなると尚更で、相続人としては、「こっちの遺言に従うべきだ」「いや、こっちの方が被相続人の真意を表しているに違いない」などと言って、さらにこじれる可能性が高くなると考えられます。

では、このような場合、どの遺言に従って処理されるべきなのでしょうか。

原則として、遺言が2つある場合、内容が抵触する部分については、当該部分については前の遺言は撤回されたものとみなられ、後の遺言が優先されます。

内容が抵触しない場合は、両方とも効力が生じるものと考えられます(もちろん、遺言の方式がきちんと整っていることが前提になります。)。

そのため、例えば前の遺言で「不動産はAのものとする」と記載されていたものが、後の遺言で「不動産はAとBが2分の1ずつ取得する」と記載されていた場合は、後の遺言が優先され、不動産はAとBが2分の1ずつ取得することになります。

ただし、後の遺言が詐欺または強迫によるものであった場合には、後の遺言は被相続人の意思を反映したものではなかったものとして、効力を生じません。その他、後の遺言が被相続人の意思を反映したものでないといえるような特別な事情があれば、後の遺言は効力を生じないものとされる可能性があります。

もし遺言が複数出てきて、その処理にお困りでしたら、お気軽に御相談下さい。