我々弁護士の業務として、遺言書作成というものがあります。
 先日、あるお客様の遺言書を作成していてつくづく思ったのですが、遺言書を作成するということは、人生の晩年に財産を残してあげたい大切な人がおり、また残すべき財産があるということなんですよね。
 自分の亡くなった後、大切な人たちが自分の遺産についてトラブルとならないよう、大切な人たちのことを思い浮かべながら、生涯をかけて作り上げた財産について最適な分配方法などを考えていく作業をするということは、幸せなものだなあと思います。

 しかし、遺言は法律で形式等に細かい決まりがありますし、内容も出来る事とできないことが明確に決められています。
 遺留分などが侵害されている場合には、いくら遺言があったとしてもそれは絶対的な効力を持つわけではありません。
 そして、残念なことに、遺言が存在したとしても遺言の内容や成立過程を巡って相続人がトラブルを起こしてしまうことも少なくありません。
 このような残念な結果を避けるためにも、内容を弁護士とよく相談して、問題がないかを確認し、法律的に適切な形式で作成するようにしてください。

 なお、民法には「船に乗っているときに作る遺言」や「伝染病で隔離されているときに作る遺言」など、なかなか特殊で面白い場合を想定した遺言の規定が置かれています。お時間のあるときにぜひ一度見てみてください。

弁護士 井上真理