こんにちは。今日は、基本に立ち戻って法定相続人について確認してみましょう。
 法律上、相続人になれる人(もしくは、なれない人)というのは決まっていて、民法の886条以下に詳細な規定があります。
 配偶者や亡くなった方の子供が相続人になるということはみなさんご存知と思いますが、どのような場合に亡くなった方の両親も相続人になるのか、または兄弟姉妹も相続人になるのか、等のルールは、意外とややこしいので正確に理解している方は少ないと思います。

 基本は、以下の通りになります。

  1. 配偶者と、子は、常に相続人(お腹の中の胎児も相続人)
  2. 子がいないときは、親も相続人になる
  3. 子も親もいないときは、兄弟姉妹も相続人になる

 このような相続のルールや優先順位は、当然ながら国や文化によって異なりますので、日本では当たり前であっても、世界では不思議と思われることもあります。先日、外国人のお客様に上のルールを説明したところ、「何故兄弟姉妹にも相続権が発生するのか!?」ととても不思議そうでした。
 そして、上のように、相続において配偶者と子は、とても強い優先的権利を持っています。
 このことは、例えば非常に不仲で何十年も別居をして、連絡も一切取っていないだとか、何年も裁判で離婚を争っている夫婦でも変わりません。
 私たちの扱っている事件でも、年に1,2件程度、離婚の争い中に配偶者が亡くなってしまった、というケースが発生します。
 このような相手であっても、配偶者である以上、法律上2分の1の相続権が発生することには変わりがありません。
 このような相続になることを避け、現在の事実上のパートナーやお世話になった人に財産を残してあげたい、という方も多いと思います。
 そのような方は、遺言制度を利用して、あらかじめ法定相続とは異なる相続割合や相続人を定めておくことが非常に重要になります。

弁護士 井上真理