3.遺言執行者になって最初にすること

 あなたが遺言執行者の就任を承諾した場合、まずは相続人にその旨通知してあげたほうがいいでしょう。
 また、法定された任務として、財産目録の調整を行う必要があります(民法1011条1項)。作り方が分からない、と言う方は早急に専門家に相談することをお勧めします。というのも、財産目録は遅滞なく作成しなければならないものとされているからです。

4.相続人が任務を妨害したら?

 遺言執行者は相続人全員の代理人とみなされます(民法1015条)。しかし、相続人から反発されることもあるでしょう。遺言執行者は、相続財産の管理、執行に必要な全ての行為をなす権限を有します(民法1012条1項)。
 相続人は、遺言執行者のある場合、相続財産の処分、その他遺言執行を妨げる行為をすることができません。これに反して行われた処分は、絶対無効と解されています(大判昭和5年6月16日民集9巻550頁)。
 例えば、遺言である不動産が遺贈されていた場合に、あなたが登記移転等を行う前に、相続人が第三者にこれを売却したとして、その売買は無効とされるのです。
 言うまでもなく、この権限を濫用することは許されません。また、任務を怠った場合等には、遺言執行者の地位を解任されうることはもちろん(民法1019条1項)、あなたには善管注意義務が課せられていますので、損害賠償の問題さえ生じうるでしょう。

5.終わりに

以上述べたところは、遺言執行者に関する全てを語るものではありません。もしあなたが遺言執行者に指定され、これを承諾するのであれば、よほど自信がある方以外は専門家に一度相談されることをお勧めいたします。