こんにちは。本格的に涼しくなってきましたね。
今日は、離婚するためにどのような手段を取るべきか、ということについてお話します。
離婚を考えている方は、まずは相手方と直接交渉をするのではないかと思います。ここでまとまれば一番楽ですね。離婚届を出して、離婚成立です。
ただ、注意しなければならないのは、離婚に伴って相手方と財産関係の交渉(慰謝料、財産分与、子どもがいれば養育費…など)をする場合です。
離婚後の生活の糧として慰謝料を期待していたのに、払ってくれない、ということがありえます。相手方の思惑としては、慰謝料払うと言って別れられればラッキー、ということで、もともと払うつもりがなかったのかもしれません。そういう場合に備えて、公正証書を作成し、公正証書に基づいて強制執行できるようにしておくとよいでしょう。特に、養育費などの将来にわたって継続的に支払いが必要となる金銭については、公正証書を作成することをおすすめします。
次に、相手方との直接交渉がまとまらなかった場合にどうするか。弁護士を立てて相手方と交渉してもらう、というのも一つの手です。メリットとしては、冷静な交渉が可能になるということと、弁護士であれば裁判所の相場をにらみつつ交渉することになるので、常識から外れた結論にはならないということがあります。
さて、交渉でまとまらないとか、そもそも相手方が話をしてくれない、と言った場合ならどうするか。次に考えられるのが、調停です。調停も、交渉と同じく、基本的には話し合いです。しかし、裁判所を利用する手続で、調停委員という中立な立場の人が、交渉の調整役をしてくれます。そのため、弁護士に依頼せずに話をまとめたい、という方にとっては、調停という公的な手段をとるのもよいかもしれません(もちろん、弁護士を依頼して調停を行う場合もあります)。
もし、調停で離婚については合意ができているが、親権や養育費、財産分与等について合意できない、というのであれば、裁判所が審判という手続で、強制的に決めてくれます。
審判や調停で決まったことは、強制力を持ちます。例えば、調停で養育費を支払わなければならないと決まったら、仮に相手方がきちんと支払ってくれないときは、調停調書に基づいて、強制執行することができます。
調停でも離婚が合意できなかった場合、次に訴訟をすることができます(なお、離婚については最初から訴訟をすることはできず、まず調停を経なければなりません。)。
訴訟は、時間がかかるし(たいてい1年前後)、厳密な立証が必要となります。当然、普通の人が自分でやってもうまくできないので、弁護士に依頼することが多いです。そうすると、費用もかかります。
ですから、調停がうまくまとまらず、終了となる前に、これらの負担を覚悟の上で、訴訟に進むべきかを判断しなければなりません。つまり、調停においては、引き際が大切になってきます。
例えば、夫が、「不貞の慰謝料100万円なら離婚してやってもいいけど、慰謝料200万円なら離婚してやらない。」と言うことがあります。このとき、100万円で我慢するか、悩みどころだと思います。ここで考える視点としては、しっかりした証拠を持っているか(訴訟では、厳密な立証が必要となります。)、時間と労力の負担に耐えられるか、夫が実際に200万円支払う資力があるか、などです。たしかに不貞の慰謝料の相場は200万円~300万円と言われたりしますが、時間をかけて訴訟をした挙句、不貞の立証不十分で慰謝料ゼロ、ということもありえます。
どの手段をとるかによって結果も変わり得るので、よく考えてから離婚を目指しましょう。