前回は、DVについて、対処法として、どのような施設や法制度が用意されているかに関し、全般的に概要を説明しました。今回は、もう少し、具体的事項を詳しく述べてみたいと思います。

 前回言及した裁判所による接近禁止命令、退去命令といった保護命令制度は、どのような場合に認められるのでしょうか。

 まず、実際に、配偶者から身体に対する暴力又は生命・身体に対する脅迫を受けたことが必要です(DV防止法10条1項柱書)。ただし、「暴力」には、心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれるとされています。そして、「配偶者」には、離婚後の配偶者、内縁者、恋人等も含まれることは前回も触れました。

 次に、将来的に、配偶者から身体に対する暴力を受け、その生命・身体に重大な危害が生じる恐れが大きいと認められる事情が必要です。

 つまり、過去に暴力や脅迫を加えられただけでは足りないし、この先、暴力を加えられそうだという将来への単なる危惧だけでも足りないわけなのです。

 また、子への接近禁止命令の場合には、被害者が未成年の子と同居しているときであって、配偶者がその子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていること等の事情が要求されます(同法10条3項柱書)。

 どこの裁判所に申し立てるかについては、申立人、相手方の何れの住所を管轄する裁判所でも構いません(同法11条1項、2項1号)。暴力・脅迫が行われた場所を管轄する裁判所にも申立は可能です(同法11条2項2号)。

 そして、保護命令の申立は、書面でしなければなりませんが(同法12条1項柱書)、その際、注意すべきことがあります。それは、申立書その他の記録を、相手方が閲覧・謄写できるということです。したがって、申立人が相手方に対し、住所を秘匿しておきたい場合には、住民票上の住所を記載したり、既に住民票を移してしまったようなときでも市町村名までに留めた形で申立をし、秘匿しなければならない事情を記した上申書を付けるといった工夫が必要です。

 また、保護命令は、口頭弁論又は相手方に対する審尋を経なければ発することができないとされています(同法14条1項)。

 なお、保護命令違反に対しては、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金という厳しい刑罰が科されることになっています(同法29条)。

 ただ、このような罰則による担保だけにとどまらず、共同親権を振りかざして(民法818条3項)、子供を連れ戻そうとする相手方の主張根拠を奪うため、監護者指定の審判を受けておいたり(民法766条、家事審判法9条1項乙類4号)、子供に対する暴力や虐待がある場合には、親権喪失の審判(民法834条、家事審判法9条1項甲類12号)ないし親権者職務執行停止の仮処分(家事審判法15条の3、家事審判規則74条)を得ておくことも有益です。

 また、配偶者から暴力や脅迫を受けているとまでは言えない場合でも、ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)にいうストーカー行為を受けているといえる場合には(ストーカー規制法2条)、同法による保護を期待できます(同法4条、5条、13条ないし15条)。