皆様、こんにちは。
1 イントロ
今回は面接交渉に関するお話です。
当ブログでは面接交渉について既に他の弁護士から様々な内容が紹介されております。私からは、実際に面接交渉を求める調停を行った場合に裁判所がどのような点を見るのかについて紹介いたします。
2 基本的な考え方
面接交渉権については、最高裁は夫婦が婚姻後のみならず離婚には至らないが婚姻関係が破綻して別居中、非監護親が監護親に対して子の監護に関する処分(民法766条)として子との面接交渉を求めることができる、判断しています(最高裁昭和59年7月6日第二小法廷決定を参照)。
ただし、子の福祉(子の利益)に反する場合には制限することが認められています。この点から裁判所が面接交渉の調停や審判を行う際に最も重要と考えるのは子の利益ということができます。いわずもがなかもしれませんが、未成年者の子、特に幼い子にとって親と会うことがその後成長や人格形成に大きな影響を与えうるからでしょう。
したがって、裁判所が面接交渉をすべきか否かを判断する際の要点は子に対してプラスの要素があるといえるか否かということになります。マイナスの影響が大きいと判断すれば、面接交渉はすべきでないという判断にもなり得るのです。
3 子の意思
とはいえ、お子さんにとって面接交渉がプラスとなるか否かは一概に判断しがたいものです。種々の判断要素が想定されますが、重要視されるのはお子さんの意思です。
お子さんが会いたいと明確に言えば、裁判所は会わせる方向で話を進めようとします。仮に監護親が面接に難色を示していたとしても、面会させる旨の審判を出してくれることが期待できます。
逆に会いたくない、と言われてしまうと非監護親は厳しい状況に立たされます。審判を行う際に家庭裁判所の調査官がお子さんに会って気持ちを確かめることがあります。お子さんが本心から面接交渉を嫌がっていると認定されると裁判所で会えるようにしてもらうことは難しいといえます。
もっとも、お子さんが嫌がっているという話が出ても真意を確認する必要があります。例えば、幼いお子さんは判断能力が十分でなかったり、監護親から会いたくないと言わされていることも全くない話ではないので、調査官を通じてきちんと調べてもらいたいところです。
4 親子の関係
お子さんが面接交渉を嫌がっていなかったとしても、それだけで確実に会えるということにはなりません。
監護親とお子さんとの関係、特に別居前の関係がどのようであったかが時として重要になることがあります。
面接交渉調停の前から面接交渉を続けていた場合、今まで問題を起こさずに続けていたということであれば、従前の実績を尊重して面接交渉を継続すべきとの判断につながりやすくなります。逆に調停前の面接交渉で双方で決めていたルールを破った等といった事情があると、面接交渉の内容がグレードダウンする(直接の面会をさせてもらえなくなる等)可能性が高まります。なお、従前の実績がなかったとしても直ちに不利になるということではありません。
問題となるのはお子さんに対して過去に暴言や暴行等を行ったと非監護親から主張されている場合です。
仮にお子さんが会うことを嫌がっていなかったとしても、今後暴行を振るって新たな禍根を残す可能性は否定できません。このような危険性がある場合、裁判所は慎重になるので、少なくとも直接会うといった形の面接交渉をさせてもらえる可能性は低くなります。
5 最後に
面接交渉の調停に望むスタンスは、月並みですが誠実に粘り強くということになるでしょうか。お子さんと会いたいという気持ちがおさえられなくなって先走った行動(アポなしで急に会いに行く、居所を執拗に探したりする等)をすると、調停が折り合わないまま審判へ移行された際に不利な事情として扱われてしまうことがあります。
審判自体に実質的な拘束力がありませんので、お行儀良く臨むことにどれほどの意味があるのか私自身わからなくなることがあります。
しかし、お子さんのことを大切にしたい、今後の関係を良好なものにしていきたいのであれば、誤解を与える振る舞いは避けるべきかと思います。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。