1 総論
配偶者と離婚をした場合、姻族関係は当然に終了します。つまり、離婚届を提出すれば、義父母や義兄弟との関係は、新たに届を出したりするまでもなく他人となるということです(なお、配偶者が死亡したために婚姻関係が終わった場合には、姻族関係終了の届が必要です。)。
ただ、夫婦が他人となり義父母が他人となったあとにも、子にとって一方配偶者は親であり、義父母は祖父母です。そのため、片方の親に引き取られた子と、離婚に際し子を引き取らなかった方の親ないし祖父母との関係は難しいものが残ります。
この関係は法律上どのように解消されていくのでしょうか。
2 面接交渉(面会交流)
離婚後に子を引き取らないこととなる親と子の面会等の交流は、民法766条1項に則り、子の福祉を重視して夫婦間の協議で定めます。
しかし、離婚後の祖父母と子の交流について規定した条文はありません。
また、権利の内容・性質面から見ても、親と子の面会交流権は、親による子の適正監護措置を請求する権利とでも言うべき性質のものとされているところ、子の監護は親の義務ではあるものの(民法820条)、祖父母の義務ではありません。
すると、祖父母と子の面会交流権を法的に構成することはかなり困難ですし、実際の調停・審判においてもなかなか認められるものではないようです。
3 養育費
養育費というのは、子の親に対する扶養請求権(民法877条1項)です。そして、特別の事情があれば、三親等内の親族に対しても子は扶養を請求していくことができます(同条2項)。
これはたとえば、養育費を支払わなければならない親に全然資力がなく養育費を負担できない状況に陥ったが、祖父母は裕福であるというような場合が考えられます。この場合、子が祖父母に対して養育費を請求することができます。
4 養育費の連帯保証
たとえば調停の場において、養育費を支払うべき親が、今後十数年にわたって養育費を支払うと述べるものの、従来の態度等に鑑みてそれが全然信用できないような場合には、祖父母を養育費に関して連帯保証人に付することが考えられます。
この場合、祖父母が連帯保証の意味を正確に理解し、真意に基づいて連帯保証に合意してくれるのであれば、という留保付きではありますが、祖父母に調停に手続的に参加してもらい(ちょっとこの日用事があるから来て、というようなものではなく、調停参加の手続きを取るということです。)、調停調書中に、養育費の条項とともに連帯保証の条項を記載することで、養育費に担保を付することが考えられます。
あまり好ましいことではないと言われていますが、私は、全員が真意に基づき合意しているのであればよいのではないかと思います。
5 まとめ
そのほかにも、祖父母と子の関係について問題の生じる局面は多々あると思われます。
ここで書ききれないこともありますので、お悩みの際には、是非私たちにご相談ください。