こんにちは。
本日は、「性の不一致」が離婚原因と考えられるかについて述べていきたいと思います。
私が離婚の相談を受ける際、夫側でも妻側でもしばしば性の不一致は離婚原因となりますか、と質問されることがあります。
性の不一致といっても様々ありますが、性交不能や性交拒否をはじめ、異常性欲や潔癖症、異常な性的嗜好や同性愛者の問題などがあります。
本日はその中でも、夫が性交渉をしなかったケースと妻が性交渉を拒否し続けたケースについて述べていきます。
① 夫が性交渉に及ばなかったケース(京都地裁平成2年6月14日判決)
夫は、妻を健康保険の被扶養者に入れる手続を拒んだり、妻が服用していた睡眠薬が身体に悪いと思っていたのにそれを妻に話さないなど、真面目に結婚生活を考えている者の行動をとっていたとはとても思えませんでした。婚姻期間3カ月の間、真に夫婦として生活していこうという真摯な姿勢が認められず、夫が妻を避けてその間に垣根を作っていました。
夫が性交渉に及ばなかった真の理由は明らかではありませんでしたが、夫としては夫婦において性交渉をすることに思いが及ばなかったか、もともと性交渉をする気がなかったか、あるいは夫に性的能力について問題があるのではないかと疑わざるを得ないと認定されました。
婚姻生活が短期間で解消したのはもっぱら夫のみに原因があるのであり、夫が妻に支払うべき慰謝料は500万円が相当であるとしました。
② 妻が性交渉を拒否し続けたケース(岡山地裁津山支部平成3年3月29日判決)
共に再婚同士の夫婦であり、婚姻期間9か月の間、妻は夫に触られると「気持ちが悪い」と言い、婚姻当初から別居に至るまで性交渉を拒否し続けていました。妻は精神面で性交渉に耐えられないと医者から診断されており、前夫との婚姻の時も性交渉を拒否しており、慰謝料100万円を支払って別れていました。
判決では、婚姻は一般には子孫の育成を重要な目的としてなされるものであることが常識であって、夫婦間の性交渉もその意味では通常伴うべき婚姻の営みであり、当事者がこれに期待する感情を抱くのも極当たり前の自然の発露であるから、妻は夫と婚姻しながら性交渉を拒否し続けて婚姻を破綻させたのであるから、150万円の慰謝料の支払義務があります。
裁判例では、性交渉は夫婦間には通常伴うべき婚姻の営みであり、当事者がこれに期待する感情を抱くのはごくあたり前であると認定されています。
金の切れ目が縁の切れ目という言葉がありますが、身体の切れ目が縁の切れ目という言葉も当てはまるのでしょうね。
ここまで性の不一致についての裁判例について述べてきましたが、離婚事件を受任したあと夫婦の間に入って話を聞いてみると、お互いに様々なことを考えており、それがうまく相手に伝わっていないばかりに、夫婦の性生活がうまくいっていないケースはしばしばみられるところです。
性の不一致に悩まれている方々は、その悩んでいる内容を相手方に伝え、悩みを共有するようお勧めします。
その上で、性の不一致が原因で離婚をされたいとお考えのあなた、弁護士法人ALGまでご相談下さい。
よろしくお願いします。