最近配偶者に対する慰謝料請求、不貞の相手方に対する慰謝料請求の相談を多く受けております。

1 不貞の証拠

 不貞慰謝料の損害賠償請求を行う場合には、不貞の証拠としてはっきりしたものがないとなかなか難しいです。
証拠として、性交渉をしているところの写真等が入手できればばっちりですが、通常そのような写真は撮れません。

 そこで、証拠としては、ホテルに一緒に出入りしている写真や、自宅に数回出入りしている写真(1回では言い訳をされた場合に反論することは難しいため、また、入るところだけでは、用事があって少し寄ったのみなどと言われ一定時間いたことが立証できないためです。)、その他ホテル等の領収書や車のカーナビ履歴、携帯電話でのやり取り、日記、友人の証言、本人の自白などが考えられます。

 本人の自白は言った言わないの問題になってしまうため、不貞を行った場所、日時、相手方の名前、連絡先、回数、好意の有無、今後その相手方とどうするかなどを具体的に質問し、その旨を録音するか書面で残しておく必要性があります。

2 非弁活動

 あくまで私が経験した事件についてなのですが、相手方が行政書士の先生に不貞慰謝料請求についてご相談されて書面を送って来た事案ですが、通常裁判例では認められない高額な金額を請求してきました。私が、なぜそのような金額を請求されたのか行政書士の先生に質問したところ、交渉は高額な金額を提示してそこから下げていくテクニックとして高額な金額に設定した旨言われました。テクニックとして全くないといいませんが、あくまで具体的な事実(悪質性など)や裁判例に照らして私たち弁護士は金額を設定します。そのように法的根拠なく高額な金額を設定することは考えらません。

 さらに、行政書士の先生方は書面作成する権限はありますが、交渉を行う権限はありません。私が経験した事件の行政書士は自ら交渉する権限がないと言いつつも、事案についての進捗状況を聞いて来たり、内容について口を挟んできました。これは弁護士でないとできない交渉の一部を行っているのと同じであり、非弁活動にあたります。

 法律に携わていない方は行政書士や司法書士、弁護士の違いについて知りません。ただ、弁護士は高いというイメージから弁護士ではなく、行政書士の方に相談に行かれる方を多くみられます。
 しかし、行政書士はあくまで書面作成が業務であり、交渉はできません。不貞慰謝料請求のような場合は上記であげたように証拠がきちんとそろっていることを前提に交渉する必要が出てきます。書面のみを行政書士の方に頼まれて、交渉が必要になると感じ弁護士に相談に行くと二度手間ですし、書面の作成に要した費用の分費用も余分にかかります。(なお、行政書士の先生方全般に対して批判している訳でありません、あくまでも私が経験した事案です)

 当事務所に相談していただき書面の作成のみで済む事案なのか、交渉、場合によっては裁判まで見越す必要があるのか、通常裁判例に照らすといくら請求すればよいのか、今後の手続き状どのようにすればよいのかなどアドバイスしたいと思います。