わかっているようでよくわからない、離婚の制度についてご案内します。

1 協議離婚

 頑張って話し合って、当事者間で合意が成立すれば、離婚届を提出して、それで離婚は成立します。

2 調停による解決

 裁判所に調停を申し立てます。裁判所に呼び出され、調停委員会(1人の裁判官と2人以上の家事調停委員)によって合意が斡旋されます。

 当事者間で合意できたら、調停の場で離婚が成立します。

 ただし、離婚が成立したことを戸籍に記載する必要がありますから、離婚調停が成立した場合には、その調停の申立人が、調停離婚成立後、10日以内に、市区村長役場に調停で離婚した旨の届け出をしなければなりません(戸籍法77条1項、63条1項)。その際には、離婚届(相手方の署名は必要ありません)に調停調書の謄本を添える必要があります。

3 裁判離婚による解決

 最後に用意されているのが裁判離婚です。「最後に用意」というのは、裁判離婚がただちにとりうる手段ではなく、裁判の前に調停をしなければならないからです(家事事件手続法257条1項、調停前置主義)。

 裁判官が、法律の基準(民法770条)に該当する事実があると判断した場合、離婚が成立しますし、そうでなければ離婚は成立しません。

 もっとも、裁判離婚の最中であっても、当事者間で合意が成立すれば、裁判所で和解調書に離婚する旨の記載をすることによって離婚することができます(和解離婚)。

 以上をみてみると、まずは1協議離婚と2調停のどちらかの手段をとることになるので、夫婦間で離婚についての話し合いがまとまらない場合、話し合いができない場合は、調停を利用することになります。
 協議を切り上げて調停に移すかどうか悩んでいる方、調停をしたいけれどもどうしたらよいかわからないという方、ぜひご相談ください。

弁護士 江森 瑠美