本日のテーマは離婚原因のひとつとして規定してある「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)についてです。

 夫婦には同居・協力・扶助義務がありますので(民法760条)、これに正当な理由なくして違反し、夫婦生活を継続させる意思がない場合が、「悪意の遺棄」に該当するものとされております。

 では、別居をしたら「悪意の遺棄」に該当するのか、という問題がありますが、別居が直ちに「悪意の遺棄」に該当はせず、別居の原因等諸般の事情が考慮される必要があります。

 例えば、別居の原因作出につき有責の相手方の行為を「悪意の遺棄」に該当しないものとした最高裁昭和39年9月17日判決は、別居の原因は、妻が夫の意思を無視し妻の兄らを同居させ夫をないがしろにし、家庭の平和を乱したためであり、夫が妻との同居を拒み、扶助しなくなったという事情のもとでは、「悪意の遺棄」に該当しないとしました。

 民法に規定する離婚原因に該当するか、判断が難しい場合もありますので、お困りの際はぜひご相談ください。