先日、相談者の方から「30年以上音信不通だった親が要介護状態になったらしいのですが、金銭援助をしないといけないのでしょうか?」との質問を受けました。
これは、子の親に対する扶養義務という問題です。近年、核家族化が進行し、親子間の繋がりが希薄になっているからか、このような問題が生じるケースが散見されます。以下具体的に検討したいと思います。
民法877条1項は、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と規定し、子の親に対する扶養義務を明示しています。
子の親に対する扶養義務は、自己の地位相応な生活を犠牲にすることなく、生活し得る最低限度の生活費を支払うことで良いとする「生活扶助義務」であるという見解が実務上有力です。これに対して、夫婦相互の扶養義務・親の未成熟子に対する扶養義務については、自己と同程度の生活を保障する「生活保持義務」であると言われています。
どのような場合に、具体的な扶養義務を負うのかは、一概に言えませんが、裁判例においては、親の扶養の必要性の程度・子の生活状況・親の子に対する過去の養育状況などが重視されているようです。
たとえば、広島家審平成2年9月1日は、父母の子に対する過去の養育の事実等を重視し、標準生活費を上回る扶養料の支払いを認めています。
冒頭のような状況でお困りの方は、一度弁護士にご相談下さい。