皆さんこんにちは、今日のテーマは「内縁関係の不当破棄」です。

 内縁とは、男女が婚姻の意思をもって共同生活を営み、社会的には夫婦と認められる実体を有しているにもかかわらず、婚姻届が出されていないために法律上の夫婦とは認められない関係をいいます。

 夫婦関係のありかたが多様化している昨今では、このブログをご覧の方の中にも内縁関係にある方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 内縁は、法律上の婚姻とはいえませんが、法律上の婚姻に準じる関係とされ、婚姻費用の分担(民法760条)、扶助義務(民法752条)の準用、財産分与(民法768条)の類推適用等が認められています。

 男女が共同生活をしていれば内縁というわけではありません。当事者が関係を一方的に解消してきた場合にその行為を不法行為として処理できるかを検討する前に、内縁の成否を検討する必要があります。

 内縁の成立のためには、

① 夫婦共同生活と認められるような関係を成立させようとする合意と
② その合意に基づく共同生活が必要です。

 ①については、特別の形式(例えば、結婚式)は不要とされており、実質的に夫婦になろうとする合意で足ります。②の有無は、種々の要素を考慮して決められます。同居が一定期間継続していること、住民票上の住所が同じであること、住宅を二人で購入していることなど、様々です。

 内縁が成立していると認められた場合に、一方当事者が正当な理由(裁判上の離婚原因に該当する行為、事実に準じて考えます。)なく一方的に関係を解消した場合、当該当事者は、他方当事者から不法行為に基づき慰謝料を請求される可能性があります。

 離婚の場合と同様、関係解消の原因を作った当事者の悪質性、同居期間、未成熟子の有無等の要素を考慮して慰謝料額は決まります。100万円をきる事例から400万円が認容される事例まで様々ですが、同居期間が長くなるにつれ慰謝料額は上がる傾向にあります。

 内縁関係の不当破棄でお悩みの方は、ぜひご相談ください。

弁護士 上辻遥