夫婦には法律上同居義務があります(民法752条)。ただ、いかなる場合においても同居しなければならないというわけではなく、例えば、夫婦の合意の下、単身赴任で別居する場合や、夫婦の一方からの暴力行為がある場合等、正当な理由が存在すれば、同居義務はありません。もちろん婚姻関係が破綻し、夫婦の実態を失っている場合も同じです。
正当な理由なく同居しない配偶者に対しては、同居請求をすることができ、その手続としては、まずは調停や審判手続が考えられます。ただし、仮に審判等によって、「同居せよ。」と定められたとしても、強制執行することはできません。
したがって、同居の実現には、任意の履行を待つほかありません。
そうすると、あまり実益はないのではないかと思われる人もいるでしょうが、調停等において双方が落ち着いて対話を重ね、紛争が解決することもあるため、その意義は少なくないと思われます。
婚姻費用等の派生的な問題を含んでいる場合も多いことから、専門家にご相談されることをおすすめします。
弁護士 吉田公紀