1 弁護士事務所を訪れる人々

 一口に配偶者の浮気といっても、探偵会社に相談に来られる人と、弁護士事務所を訪れる人では、かなり心理状態が違うようです。

 弁護士事務所に相談に来られる人は、基本的に離婚を考えている人たちです。実際に弁護士法人ALGに相談に来る人たちのほとんどがそうです。

 配偶者の浮気が、離婚したい理由の主な動機である場合もあれば、動機のひとつに過ぎない場合もあります。

 これは、夫が浮気した場合であれ、妻が浮気した場合であれ、変わりはありません。

 また、配偶者の浮気を疑っている段階で弁護士に相談しに来る人もあまり多くはありません。

 これは、離婚したいと考えている人しか弁護士に相談に来ないことの裏返しかもしれませんが、浮気を疑っているけれども離婚しようと決意しているわけではない、という人たちは、原則として、私たち弁護士のお客さんではないのです。

 弁護士=裁判という世間の常識から考えれば当然かも知れません。

 あと、それ以外にも弁護士の敷居の高さも少なからず影響していると感じています。

2 探偵会社を訪れる人々

 しかし、探偵会社に来る人たちの心理状態はかなり違うのではないか、という印象を個人的には持っています。弁護士法人ALGの関連会社である「東京探偵社AI」に訪れる人たちを見ていると感じます。

 まず、浮気していないと信じたいという心理状態で相談に来られる人が少なくない、ということです。

 こういう相談者の場合は、浮気の証拠をおさえたいのではなく、浮気していない証拠をおさえたいという動機のほうが中心です。

 浮気調査した結果、浮気の証拠が見つからなければ、こういう人たちにとって安心材料となります。

 このような相談者は、比較的女性に多い感じがします。

 これに対して、男性の相談者の場合は、むしろ浮気の疑いが強ければ強いほど、浮気の証拠をおさえたい、という目的で来る人が多いと思います。

 妻が浮気していないと信じたい、という動機で来る男性はあまりいないのではないでしょうか。

 ところが、いざ浮気の証拠が見つかったとしても、それを持って弁護士に相談に行くかというと、そうとは限りません。

 最近は、妻の浮気も大変多く、夫の浮気と変わらない状況にあります。

 もはや、浮気は男の専売特許ではありません。

 男って浮気する生き物なんだよねえ、なんて過去の話です。

 このような背景も手伝って、女性の浮気に対する男性の考え方もだいぶ変わってきたようで、1回目の浮気は目をつぶる、なんていう男性もけっこうおります。

 こういう男性は、浮気調査で証拠をおさえると、その証拠を”妻に反省を求める”という目的で利用されるようです。

 この点を考えても、やっぱり弁護士事務所に来る人たちとは、かなり心理状態が違うと思います。

3 探偵さんの存在価値

 このように、浮気していないことを信じたいとか、やり直しの交渉道具として浮気の証拠を握りたいという人たちの問題を解決するのに、弁護士は不向きです。

 弁護士事務所の敷居の高さもありますが、このような人たちのニーズに応えられるようなスキルも知識もありません。

 やっぱり、こうときこそ探偵さんなんだな、とつくずく思います。