以前、このブログでも触れましたが、平成18年に、「探偵業の業務の適性化に関する法律」(いわゆる、探偵業法)が制定されました。
探偵業って昔からあったと思うし、探偵さんも昔からいたと思うんですけど、どうしてこのような法律が突然出来たのかというとワケがあります。
この法律ができるまで、探偵業を取り締まる法律は一切ありませんでした。
しかし、探偵に関するトラブルや苦情は以前から多かったようです。ところが、取り締まる法律もないし、担当の役所もない、ということで、探偵業界の実態把握すら政府はしていない、という状況だったんです。
ちょっと古い情報になりますが、国民生活センターの調べによると、探偵や興信所に関する苦情の数は、
平成12年 844件
平成13年 974件
平成14年 1,301件
平成15年 1,357件
平成16年 1,250
となっております。
平成12年から平成16年の5年間で、5,726件の苦情が寄せられたことになります。
この数が多いか少ないかはともかく、興味深いのはこれらの苦情の内訳です。
同じく、国民生活センターの調べによると、先の5年間で寄せられた5,726件の苦情のうち、契約をめぐるお客さんとのトラブルが4,629件で、約81%に及びます。
残りの282件は、個人情報に関するものだったそうでうす。割合的には、5%程度に過ぎません。
このような背景から、平成16年4月に、自民党の内閣部会に、「調査業に関するワーキングチーム」が発足しました。
こうして、探偵業法は、議員立法というかたちで、平成18年に施行されたんです。
そして、取り締まる役所も、公安委員会とされています。要するに、警察です。
この法律では、そもそも政府が探偵業の実態を把握できていなかったため、いったんは”届け出制”ということになりました。
届け出制にすぎないので、警察が取り締まるといっても、どこまで取り締まれるのか疑問です。まずは、実態把握から、ということのようです。
したがって、この法律が出来たことにより、探偵業界が大きく改善されたとみることは到底出来ません。
探偵を必要としている顧客が、安心して自分のニーズにあった探偵を利用できる日が来るのは、まだだいぶ先のようです。