1 はじめに
横浜法律事務所の開設から1カ月半が過ぎたところですが、早くも連日のように多数のご相談を頂いている状態です。
その中でも、やはり多いのが離婚のご相談なのですが、残念ながら、明確な法律上の離婚原因がない(もしくは証拠がない)ために、離婚したくても離婚ができないという方が多いように感じます。
離婚は、当事者間で合意できない場合には、最後は裁判で可否を決するのですが、その際、不貞等の個別の離婚原因がなくても、婚姻関係が実質的に破綻していると評価される場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)という裁判上の離婚原因が認められ、離婚が可能なのです。
今回は、この婚姻関係が実質的に破綻しているか否かの重要な判断要素である、別居について、お話します。
2 なぜ別居が重要なのか
なぜ別居が婚姻関係破綻の重要な判断要素になるかと言うと、婚姻関係にある配偶者間には法律上の同居義務(民法752条)があることもさることながら、そもそも愛し合う男女は、通常自然と共同生活を欲するものであるから、その反面、別居が長くなると愛情も薄れているであろうという経験則があるためです。
3 別居とは
このような理由で別居が婚姻関係破綻を基礎づける重要な要素となっていることからすると、婚姻関係破綻を導くための別居とは、夫婦共同生活の実体があるか否かを実質的に判断することになります。
例えば、仕事の都合で夫が単身赴任している場合には、形式的には別に住んでいることになりますが、こういう場合であっても、夫婦間でメールや電話を仲良く頻繁にとりあっている場合には、婚姻関係破綻を導くための別居とは言い難いでしょう。
他方、夫婦が同じ建物に居住している場合であっても、各々が別の階に住んでいて、まったく顔を合わせないという、いわゆる家庭内別居の状態であれば、婚姻関係破綻を導くための別居と評価されることもあります。
4 まとめ
このように、離婚する上で別居はとても重要要素となりますが、どういう状態が婚姻関係の破綻と評価されるものかの判断は、複雑な法的判断を伴いますので、ご自身で判断なさらずに早い段階で専門家に相談されることをお勧めいたします。
当事務所には、離婚に関する問題を多数扱っている弁護士がおりますので、お気軽にご相談下さい。
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