弁護士は、弁護士になる前に必ず、修習生という身分になります。修習生とはいわば見習いで、修習生のころは、弁護士事務所、検察庁、裁判所を転々としながらいくつもの事件を勉強します。私も修習生のころ、各地で離婚事件も含めてたくさんの事件を見てきました。

 離婚事件で一番不思議だったのが、当事者双方が「別れたい」という場面が多々あることでした。夫と妻の双方が、離婚というゴールについては一致していながら、裁判所に行くまで何を揉めているのだろうと首をひねったものです。

 揉めているのは、多くの場合、離婚の条件です。たとえば、財産分与や慰謝料といった離婚に際してやり取りされる財産、子どもはどちらが引き取るか、養育費・・・

 あくまで体感ですが、条件面についていえば、子どもの親権について問題になる場合が一番多いように感じました。
 協議離婚の場合は子どもの親権について定めることが離婚の要件ですし、裁判離婚の場合は裁判所によって親権者が定められますから、未成年の子どもがいる離婚の場合、親権者の問題は避けて通ることのできないハードルです。

 それから、当事者間でやり取りされる財産です。芸能人の離婚がメディアで話題になるときには、慰謝料何千万円という額が報道されて大いに話題になりますが、現実にはそれほどの額がやり取りされることはめったにありません。

 慰謝料というのは、平たく言えば、相手の心を傷つけたことに対するお詫びのお金です。だから、離婚に至る決定打を打った「有責配偶者」から、離婚に至る落ち度の無い相手に渡されるというのが通例です。慰謝料について性別は関係ありません。

 また、財産分与といって、結婚後に二人で築いた、夫の物とも妻の物とも明らかでない財産について清算します。このとき、分けた財産によっては所得税等の課税がなされることがありますので注意が必要です(たとえば、譲渡所得税は物を分けた方の当事者にかかります)。

 さらに、お互いに離婚したいと言っていても、それがポーズにすぎない場合もあります。「ごめんなさい」「ありがとう」の一言があればやり直せるのに、二人の話合いになるとつい血が熱くなってしまって、裁判まで揉めてしまうというような。

 離婚の裁判の前には、必ず調停が必要です。調停であれば第三者を交えての話合いも可能ですが、特に都市部の場合、調停は一か月に一回、二か月に一回という、当事者にとっては非常にゆったりしたペースで行われます。話合いの絶対量が足りないこともあるでしょう。

 このような場合には、我々弁護士にご相談くださるのも一手です。ご相談者に代わって弁護士が話合いをすることもできます。

 弁護士は、離婚のときだけでなく、離婚をせず結婚生活を立て直すときにもお役にも立てます。気負わずにご相談ください。