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 佐藤さん(妻)が田口さん(夫)と結婚し、田口姓となった後に離婚することになりました。二人の間には10歳のお子さんがいて、妻が親権者になることに決まりました。

説明

1.氏について

 この場合、旧姓・佐藤さんは、「田口」姓を離婚後も継続して使用することができますし、「佐藤」姓に戻ることもできます

 最近は、旧姓に戻ると、運転免許証や預金通帳など、さまざまな書類の名義を書き換える必要が出てきてしまうことや、離婚が周囲に一目瞭然となってしまうことを避けるためなど、婚姻中の氏を名乗り続ける方が多くなっています。

2.旧姓に戻る場合

 仮に、旧姓・佐藤さんが離婚した場合、民法の規定では、離婚届だけを提出すると旧姓の佐藤に戻る取り扱いになっています。

 そして、この場合は、旧姓の佐藤に戻って元の戸籍に入る(復籍する)ことになるのが原則です。但し、旧姓の佐藤で新戸籍を作ることも可能です。

3.婚姻中の姓を継続使用したい場合

 反対に、離婚後も婚姻中の田口姓を使用したい場合には、その届け出をする必要があります(戸籍法77条の2に規定されていることから、実務上、「戸籍法77条の2の届出」と呼ばれています)。

 戸籍法77条の2の届出は、離婚の届出と一緒に出すこともでき、この場合には、旧姓・佐藤さんについて、田口姓で新しい戸籍が作られます。

 さらに、戸籍法77条の2の届出は、離婚と同時ではなくても、離婚から3か月以内であれば届出が可能です。つまり、離婚に際していったん旧姓「佐藤」に戻ったものが、再び「田口」姓となります。この場合には、①今ある戸籍を田口姓の戸籍に更正するか(離婚の際に、佐藤さんを筆頭者とする新戸籍を作った場合など)、②新たに田口姓の戸籍を作ることになります(離婚の際に、親の戸籍に戻っていた場合など)。

4.お子さんについて

 このように色々なパターンはありますが、結局のところ、離婚すると夫婦の戸籍は別々になります。

 ところが、何の手続もしないと、お子さんについては、氏は元のまま(田口姓のまま)ですし、戸籍も元の戸籍(父親の戸籍)に残ったままとなります(親権者が母親であっても同じです。)。

 もし、お子さんの氏を元の「田口」から「佐藤」へと変更したい場合には、親権者(お子さんが15歳以上のときは、お子さん自身が行います。)が、家庭裁判所に子の氏の変更の申立をする必要があります。そして、お子さんの氏の変更が認められると、お子さんは、変更後の氏を称している親の戸籍に入ることになります。

 このことは、例えば、旧姓・佐藤さんが離婚後も「田口姓」を名乗ることとなり、田口姓の戸籍が作られていた場合に、子供の氏について、「父の田口姓」から「母の田口姓」への変更が認められれば、同じ田口であっても、お子さんは、母の戸籍に入ることになるということを意味します。

弁護士 細田大貴