当ブログの過去記事でも触れられていますが、先月、最高裁が面会交流実施条件違反に対する強制執行(間接強制)の可否について判断を行いました(平成25年3月28日決定)。同一法廷が3件に対して同一日に決定を出し、間接強制を認めるものが1件、認めないものが2件と、判断は別れたようです。

 一読する限り、判断が分かれた理由は、面会交流の求めに応じる側がなすべき給付内容が十分に特定できているか、つまり面会交流条件が必要なだけ細かく定められているかというところにあるようです。「○○程度」とか、「双方協議の上決する」とか、曖昧な条項が増えると、その分間接強制不可の判断に至る可能性が高くなるということでしょう。

 この決定を読んで、しみじみと思うことがありました。この決定を見た、特に面会交流を求める側は、「だったら、後日に備えて細かくきっちり決めておく方がいいな。」と思うでしょう。しかし、そう簡単な話ではないだろうと思います。

 面会交流の条件交渉を行う際、細かく決めようとするとまとまらない可能性が高くなります。「何月の第何曜日、何時にどこで待ち合わせ、何時間どこで一緒に過ごし、どこで別れ、急に都合が悪くなった際はどう取り決め・・・。」などなど。まあ、応じる側とすれば、「そこまであれこれ求められるなら、話し合いはやめる。」と言いたくなるでしょう。

 審判を申立てた時も、余り細かな条件は、裁判所が定めたがらないような感じがします。条件を明確に設定すると、融通が利かなくなるという面があるからでしょうか。「最初から、そんなに相手方に不信を見せてどうするの?逐次協力して上手くやれそうにないほど仲が悪いなら、こちらもあまりいい条件を定めにくいよ。」なども言われるかもしれません。

 間接強制まで視野に入れて、条件を詳細に定めることばかりに気を取られ過ぎると、いつまでも合意ができなかったり、物足りない条件しか認めてもらえなかったりなどの弊害が出て来そうです。すでに条件違反や面交拒絶、囲い込みの「前科」がある場合はともかく、こだわりすぎるのも考え物かもしれません。何事も、最初からダメになるとは限らないのですから。

 子どもが関係する事項の協議は、難しいです。子どもは物ではなく、面会交流の実施とてそもそも強制執行に馴染むとも思えません。最初から「相手に約束を破られた場合」への備えに神経質になりすぎるより、まずは「相手が約束を破りにくくする」相互協力の追及を行う方がいいのではないかと思います。