子どもを持った夫婦の離婚となれば、親権や養育費が問題となってきます。このうち、養育費について、その支払いをいつまで続ければよいのかはどう考えるべきなのでしょうか。

 養育費を支払うべき対象者としての子どもについては、未成年者と未成熟子という基準があるように思われます。未成年者と未成熟子と関係については、基本的には同じものと考えてよいのではないでしょうか。

 そのため、養育費の支払いについては、「子が成年に達する日の属する月まで」という期限設定が原則として多く見られます。

 ただ、未成年者と未成熟子とは、必ずしも一致するわけではないように思われます。そして、この両者が異なるのではないかと考えられる場合、養育費を支払うべき期間については未成熟子という基準の方が強く意識されている感じがします。

 成熟の程度、即ち自立・自活していると認められるか否かです。年齢が20歳以上となっても、親からの自立・自活を一般に果たすとみられる段階までは親が扶養の責任を果たすべきとすることは、特段おかしくはないでしょう。

 近年、大学への進学率は高い水準となっています。子どもにとって大学へ通うというのは、特別なことではありません。大学へ通うこととなった場合には、卒業するころには成人を迎えています。

 大学になれば奨学金制度も結構利用されており、アルバイト等を行うことも一般的です。そのため、学費を自己の努力で賄う学生も多くいると考えられます。それでも、学生の本分が勉学にあることは変わらないでしょうし、その意味で学生の経済的自立度合いは決して高くはないとも言えます。大学在学中に成人を迎えた場合にはもはや未成年者ではないですが、未成熟子の性質は残ると考えることはできます。

 そのためか、養育費の支払いを、「子が大学等の高等教育機関を卒業する日の属する月まで」とする取り決めも多く見られます。

 逆に、年齢が20歳未満であっても、結婚して成年に達したとみなされるようになった場合や、就職して自己の生計を立てることができるようになった場合などは、未成熟子の状態を脱したと解することができるので、養育費の支払義務は生じないと考えられると思います。