現代において、離婚する方法には、協議上の離婚(民法763条)と裁判上の離婚(民法770条)の2通りあります。そのため、現代においては、裁判上の手続を経ずに当事者の一方の意思表示によって、離婚することはできません。

 しかし、江戸時代では、配偶者の一方の意思表示によって、離婚すること認められていました。具体的には、離縁状を夫や妻に交付することによって離婚は成立しました。この離縁状は、文書の内容を3行半で書く習慣があったため、俗に三行り半とも言われています。

 ただ、離縁状を単に書けば離婚が認められるという訳ではなかったようです。例えば、夫からの勝手な一方的離婚の場合には相当量の金銭を妻に持たせることもあったようです。

 このように、現代と江戸時代とでは、離婚の制度は、異なりますが、簡単に離婚が認められる訳ではないという点で共通点があるとでしょう。

弁護士 大河内由紀