こんにちは。本日は、面会交流の実施の確保についてお話しします。

 離婚前の別居中や離婚後に、月1回、月2回などのペースで面会交流をする合意がなされることがあります。しかし、たまに、ルールどおりに実施されないこともあります。

 その理由は、子どもが病気になったなど、いろいろありますが、中には、子を監護している親(以下、「監護親」といいます。)が、正当な理由もないのに面会交流を拒否しているケースもあります。子どもが病気になったなどの場合は、面会交流を実施できないのもやむを得ないと考えられますが、当然、正当な理由もなく面会交流を拒否することは認められるものではありません。

 正当な理由もなく面会交流を拒否された場合、どのようにすればよいのでしょうか。

 裁判所の手続としては、「履行勧告」、「間接強制」などの手続があります。

 履行勧告と言うのは、裁判所が子を監護していない方の親(以下、「非監護親」といいます。)の申立てを受けて、監護親に対し、面会交流を実施するように勧告する手続です。監護親としては、裁判所から連絡が来るというのは、多少プレッシャーに感じる可能性があり、面会交流を促す効果はある程度あります。しかしこれは、言ってしまえば、勧告するだけなので、特段、強制力はありません。

 そこで次に考えられるのが間接強制です。これは、約束された面会交流を1回実施しなければその度に監護親の非監護親に対する金銭支払義務が発生するという手続です。これは、面会交流を実施しなければ、その度に金銭的に強制執行できるというものですから、その意味では、強制力を持ちます。ただ、間接強制は、必ずしも認められるとは限らないようです。面会交流を強制することになりますので、本当に、面会交流によって子の福祉を害することがないかどうかが、慎重に判断されるようです。

 そして、間接強制よりも強力な手段として直接強制(子どもを監護親から非監護親に面会交流のために引き渡すことを直接強制する。)の手段がとれるか、も気になりますが、面会交流について直接強制を認めた例は公表されておりません。

 また、正当な理由なく面会交流が実施されない場合、それは慰謝料請求の対象になることもあります。しかし、慰謝料請求によって、監護親の気持ちを逆なですることになり、かえって監護親が協力を拒み、面会交流の実施を困難にしてしまう可能性もありますので、要注意です。

 裁判所の手続をとおして面会交流の実施を確保しようとすると、相手方を逆なですることもありますので、例えば、エフピックなどの第三者機関を使って解決できる場合なら、そのような手段を利用するのも良いでしょう。