皆様、こんにちは。

1 イントロ

 ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今年の7月9日から、日本で暮らす外国人の方にも住民票が出るようになります。

 もう少し正確には、外国人住民の方が住民基本台帳法の適用対象に加わるという内容の法改正がいよいよ施行される、ということ指します。

 それではどのような仕組みがスタートするのでしょうか。今回は離婚そのものではなく、周辺のテーマということになりますが、簡単にご紹介します。

2 住民票作成の対象となる外国人

 全ての外国人の方に住民票が作成されるというわけではありません。住民基本台帳制度に組み込まれるだけの相手、ということになりますが、次のように分類されています。

(1) 中期滞在者

 在留資格を持つ外国人で、3月以下の在留期間が決定された者や短期滞在、外交、公用の在留資格が決定された者等以外の者

(2) 特別永住者

 入管特例法により定められた特別永住者

(3) 一時庇護許可者又は仮許可滞在者

 船舶等に乗っている外国人が難民の可能性がある場合などの要件を満たすときに一時庇護のための上陸の許可を得た者(一時庇護許可者)や不法滞在者が難民認定申請を行い、一定の要件を満たすときに仮に我が国に滞在することを許可された者(仮滞在許可者)

(4) 出生による経過滞在者又は国籍喪失による経過滞在者

 出生又は日本国籍の喪失により我が国に在留することとなった外国人

 新たに入国する外国人は、空港等で交付された在留カードを、住所地と する市町村の役所へ持参し転入届を行うことになります。

3 記載事項について

 日本に滞在する外国人は、これまで外国人登録法が定める外国人登録原票に登録されることが必須でした。外国人登録法は本年7月9日に廃止されるのですが、外国人登録原票の開示手続を担当するのが市町村から法務省に変わります。

 外国人登録原票には、在留外国人の公正な管理という観点から、氏名・生年月日といったごく当たり前の情報から、国籍の属する国での住所、出席地、職業、旅券番号までもが記載されています。

 新制度における住民票には、在留資格、在留期間(満了の日も含む)、在留カードの番号などは記載されますが、国籍の属する国に関する情報等は記載されません。

4 改正のねらい?

 (1) 今回の改正は一体どのような目論見があるのでしょうか?

 一つは制度の合理化です。

 これまでは外国人登録法により、外国人登録を行った者は住所を変更した場合だけでなく、在留資格や在留期間等に変更があった場合にも居住する市町村長に変更登録申請を行わなければなりませんでした。すなわち、在留資格の変更等についてまず法務大臣の許可を得た後に市町村に申請をすることになっていました。

 ですが、今回の改正によって、本人が入管局で在留資格等の変更の手続を行った後、法務大臣が当該外国人住民の住所地の市町村長に通知を行い、当該通知に基づいて住民票の記載の修正を行うようになります。したがって、当該外国人ご本人が市町村の役所へ申請に行かなくて済むので楽になると同時に、入国管理局で受理した情報がそのまま居住する市町村の住民票にも反映されることになって齟齬が生じないようにもなるのです。

 (2) 今一つは勝手な推測ですが、市町村による外国人住民の国民健康保険や年金制度の管理のしやすさではないでしょうか。

 今回の改正によって外国人住民の住民票に国民健康保険の被保険者資格や国民年金の被保険者の資格なども記載されます。外国人の情報も住民基本登録台帳に登録されることで、市町村は一手に管理することができます。

 恥ずかしながら私は改正法施行前の現状を知りませんが、市町村での健康保険税や年金保険料の管理は大変だったのではないかと想像します。今後は国民とほぼ同じように管理できるわけですから、催促が来るようになって面倒が増える外国人の家庭が結構増えるのかもしれません。

 外国人のご家庭でも健康保険、介護保険、国民年金、各種手当等といった市町村のサービスも申請しやすくなるのではないかと思います。

 今回もお付き合いいただきありがとうございました。