こんにちは。今日は、夫の子連れ別居についてお話ししたいと思います。子連れ別居は、子供を現に監護養育している配偶者が親権や監護権について優位に立ちやすいという点にかかわってきます。

 夫が出勤している間に妻が子連れで別居してしまうというのは、世の中によくあるパターンです。

 これに対して妻が子供を置いたまま別居したり、夫が子連れで別居するというのは、少数派です。特に、夫が子連れで別居する(している)状況は、私が今までに受けた相談の中にほとんどありません。

 どうして夫が子連れで別居することはこんなに少ないのでしょうか。

 まず、夫が外で働き、妻がメインとなって育児をしていることが多いことが考えられます。夫がフルタイムの仕事を継続しながら子育てをするというのは、よほど下準備をしなければ至難の業です。実家でしっかり面倒を見てもらえるという状況でもない限り、あまり現実的ではありません。

 次に、夫婦と子供がもともと住んでいる自宅が夫名義かつ夫が住宅ローン支払い中であるような場合も、夫が子連れで別居するのを躊躇するケースです。これまた頼れる実家があればまだ良いのですが、子どもと一緒に賃貸物件に住まなければならないとなれば、賃料負担と住宅ローンの負担が二重にかかってくることになります。こんなことになれば、給料のほとんどが飛んで行きます。経済的な負担に加え、どうしても、「自分の家」ということにこだわり、絶対に自宅を離れるもんかという意地も働いたりします。

 また、夫は、妻が夫婦生活に耐え切れなくなってひとりで家を出て行くのを待っていたりもします。たしかに中には、子どもの生活環境を変えるのは良くないから、と遠慮して、妻ひとりで家を出るケースもありますが、それは少数派で、多くの場合、妻は何を差し置いても家を出るなら子どもを連れて出ます。それか、居座って夫に圧力をかける妻もいます。

 世の中には、夫婦間でいざこざがあっても、夫が我慢していれば夫婦はうまく行くもんだ、という風潮があるように思います。しかし、夫が我慢しすぎて妻に「出しぬかれる」ようにして子連れで家出され、我慢が裏目に出てしまうことが多いと感じています。

 子どものために、夫が下準備して別居に踏み切った方がいいのに、と思うケースは多々あります。しかし容易には実行されないのが実情です。たしかに住宅ローンと賃貸物件の二重負担の問題など経済的な負担が増すのは現実的な問題ですが、実家を頼るなどして、夫も、積極的に、子どものためにより良い環境を作る方向に動くことも一つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。