今回は、あまり長い内容でなくてやや恐縮です。テーマは、財産分与としての不動産譲渡についての概観です。登記と税金を取り上げようと思います。

 財産分与として不動産を譲渡する場合、所有権移転登記の登記原因は「財産分与」となります。

 登記原因を財産分与とするには、原因日は離婚の日以降とすることになります。婚姻中に登記移転を行なおうとした場合、登記原因は「贈与」となり、分与を受けた側に税金がかかることともなりかねませんので、注意が必要です。

 財産分与を行うと、分与を行った側に譲渡所得税が発生します。ただ、納税額計算の場合の収入金額については、①分与に際し額を定めていれば同額、②定めていなければ現在地価(査定額)と判断されるようです。

 分与に際して、ローン残高を分与を受ける側が実質的に負担する条件で分与を行う場合、国税庁に問い合わせたところローン残高を収入金額と見なすと回答されたこともあります。

 他方、購入価格については、実際の購入価格から減価償却による修正がなされるようですので、税負担額の計算の際には注意が必要と思われます。

 不動産の財産分与は、所有権を移転するのか使用貸借又は賃貸借で継続使用させるのか、住宅ローンの残債はどう処分するのかなどで様々な条件設定が考えられ、そこに税金や登記の問題も絡むかなりややこしい分野であると考えられます。知識・経験に自信がなければ、専門家に入ってもらうのもいいかもしれません。