先日、奥さん側から相談を受けた時に、「別居したいのですが子ども手当をどうしたらいいですか」という質問を受けました。

 子ども手当は、「生計を維持する程度が高い方」に支給されるのが原則です。とすれば多くは父親に支給される(父親名義の口座に振り込まれる)ことになるでしょう。

 今までの子ども手当は、両親が別居し、お子さんが母親と暮らしている場合でも父親が「生計を維持する程度が高い方」に該当するならば、別居している父親に支給されていました。しかし、実際に養育している者が受給できなければ、子どものために使われることは期待できません。

 そこで、子ども手当の制度が改正され、平成23年 10月からは、別居中の両親が生計を同じくしていないような場合(たとえば離婚協議中につき別居している場合)は、子どもと同居している方に支給されることとなりました。

 もっとも、たとえば当事務所のある新宿区では、子どもと暮らしている方の親が自治体に子ども手当の認定請求をするだけでは、受給者の変更は認められず、原則として、受給者からの消滅手続が必要となります。ただし、受給者が手続を拒む場合は、離婚調停の申立書等、離婚の意思が確認できる書類があれば、役所が職権で受給者を変更する処理をしてくれる場合があります。別居をしており、相手との話し合いもままならない中で、相手方に消滅手続をしてもらうのは難しいことも多いでしょうから、もう少し緩やかに受給者の変更が認められるといいですね。

 ちなみに、「生計を同じくしていないような場合」ですので、 収入の多い父親が単身赴任をしているだけであり、家族と生計を同じくしていると認められる場合は、引き続き子どもの生計を維持する程度の高い方、つまりは父親に支給されます。