離婚をしたいと思って相談に来る方の中には「今すぐ離婚したいです」と言ってこられる方がけっこういます。
 離婚したい相手方と一秒たりとも一緒にいたくないという、“感情”なのでしょう。

 しかし、離婚をしたからといってその後の人生が全てうまくいくというものではありません。
 離婚をしたいと述べる方に、離婚後の生活についてどのように考えているかということを尋ねると、その中の一定数の方に、今離婚するとその後の生活がままならないのではないかと思うことがあります。

 何の手だてもなく離婚をすると、原則的には、子供が二十歳になるまでの養育費の他には、定期的な収入は途絶えてしまいます。
 私は、ある程度暮らし向きがよい方が、離婚相談に来られた場合、本当に十分な離婚意思があるか否かを確認するために「離婚したら今と同じ生活水準は維持できませんよ。それでもいいですか」と尋ねるようにしています。
 まぁ、女性の場合、経済観念がしっかりされているのか、すでに検討済みで分かっているという回答がほとんどです。

 また、どのような事案でもそうですが、緊急性がない場合を除き、相手方にばれないように淡々と離婚の準備を行い、証拠集め等をしたうえで、離婚請求をする方がよい結果になります。これは、協議離婚をする場合であっても、調停・裁判離婚をする場合であっても変わりません。

 すなわち、離婚をしたいと“感情”として思った後は、冷静かつ冷徹に“理性”によって行動すべきなのです。
 法律上の離婚をしないで、別居しつつ生活費は十分に貰うことも、うまくいけば可能です。
 また、離婚後も十分な慰謝料等をもらい、経済的に安定させることも、うまくいけば可能です。

 離婚をしたいと考えるその瞬間は、“感情”ですが、
 離婚の請求をする段階にあっては“理性”が必要です。
 専門家はこの“理性”的な面を全面バックアップします。

 次回からは、私見を交えて、事案に応じてどのような方法・手続き取るべきかについて連載していこうと思います。