はじめまして。本日から本ブログを執筆させていただくことになりました井本と申します。以後、お見知りおきください。

 初回のブログに何をテーマとするかずいぶん迷いましたが、初回らしく基本事項の解説をさせていただこうと思います。

 皆さんが離婚と聞いて、最初にイメージされるのは、夫婦で離婚することに合意をして離婚届を市役所等に提出してする離婚だと思います。

 この離婚は協議離婚といいますが(民法763条)、様々ある離婚方法の中では協議離婚が最も多く、平成20年にされた離婚のうち協議離婚が占める割合は87.8%を占めます(厚生労働省発表の平成21年度「離婚に関する統計」の概況による)。

 その他の離婚方法には調停離婚(家事審判法21条1項)、判決離婚(民法770条)、審判離婚(家事審判法24条)、和解離婚・認諾離婚(人事訴訟法37条)があります。

 最初にとりあげた協議離婚は、夫婦で離婚することに合意できなければできませんので、夫婦の一方が離婚を希望しても、もう一方が納得してくれない場合には協議離婚以外の離婚方法を用いることになります。

 その他の離婚方法の中で最も多い離婚は調停離婚であり、平成20年にされた離婚のうち、9.7%を占めています。

 調停離婚とは、家庭裁判所における調停(家事調停)において、当事者間に離婚するとの合意が成立し、その合意を調停委員会が確認し、その合意が相当であることを認めて、その合意内容を調停調書に記載したときに離婚が成立するというものです(家事審判法21条1項)。

 当事者とすれば、離婚の合意ができず協議離婚ができなかったのだから、さっさと裁判して離婚させてほしい思うところですが、法律上、離婚訴訟を提起する前には家事調停の申立てをしなければならないとされています(調停前置主義・家事審判法18条1項・17条)。

 その次に多い離婚方法は、和解離婚で平成20年にされた離婚のうち、1.4%を占めています。

 和解離婚とは、離婚訴訟において行われる訴訟上の和解による離婚です(人事訴訟法37条1項)。訴訟上の和解とは訴訟の対象について相互に譲歩することによって訴訟を終了させる旨の期日における合意ですが、この合意により離婚することを和解離婚といいます。

 最後にご紹介するのが判決離婚(民法770条)です。

 他の弁護士のブログで何度も取り上げられているので、ご存知の方も多いと思いますが、判決離婚が認められるためには、

① 配偶者に不貞な行為があったこと
② 配偶者から悪意で遺棄されたこと
③ 配偶者の生死が三年以上明らかでないこと
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
⑤ その他婚姻を継続しがたい重大な事由があること

のいずれかの離婚原因が存在する必要があります(民法770条1項)。

 上記の離婚原因のうち、①から④については、その存在が認められても裁判所が一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚が認められません(民法770条2項)。

 この判決離婚は、平成20年にされた離婚のうち、1.0%を占めており、離婚数上位4つの離婚方法を合わせると99.9%を占めています。