前回は、別居の際に置いていくべき物として、置手紙に触れました。
 (前回の記事はこちら:別居から離婚5

 今回は、別居の際に持ち出すべきと思われる物について触れてみようと思います。

 別居の際に持ち出すべき物とは、詰まるところ別居後に必要な物、別居後に持っていると便利な物です。

 今まで住み慣れた家を離れ、別の所での暮らしを始めるわけですから、生活に必要な物を揃えなければならなくなります。店ですぐ買える程度の物ならともかく、家から持って行かなければならない物については確実に持ち出さないとなりません。

 別居後に、「あれが必要、これを引き渡せ。」などの話を持ち掛けると、相手も面白くないので余計な反発を招きます。悪くすると、相手に意図的に渡してもらえなかったり、「渡してやるから、自分の言い分を聞け。」などと交渉のカードに用いられたりする可能性すら考えられます。

 そのため、別居実行時点で必要な物に目星をつけ、忘れず持って出ることが重要となります。

 持って出るべき物は、大まかに次のように分類できるのではないかと考えられます。

 1つ目は生活に必要な物、2つ目は財産分与請求に備えての物、3つ目は別居後の連絡遮断のための物、です。

 生活に必要な物としては、当座の資金、自分名義の通帳とカード類、健康保険証(自分で持ってなくて配偶者の扶養に入っているなら、とりあえず写しだけでも)、身分証明書、仕事や学校で必要となる重要書類や道具などが考えられます。

 財産分与に備えての物としては、配偶者の預金口座の情報のメモ(最低限、金融機関名と支店名は必要です。余裕があれば口座番号や別居直前の預金残高も。相手名義の通帳それ自体を持ち出すと揉めるので、これは避けたほうがよいと思われます。)、配偶者の保険の証書番号の写し、自分の通帳と保険証書、車検証の写し、不動産ローンの契約書やローン残高が分かる資料などが考えられます。

 別居後に配偶者と直接連絡をとりたくないという場合には、知人の情報の記載がある手帳などを持って出たほうがよいと思われます。相手が自分の知人に行き先を尋ねるかもしれませんので。

 最後に、最低限必要な物は持ち出さなければなりませんが、あまりに多くの物や相手の物、夫婦が共通して使用していた物まで考えなしに持ち出すと、相手の反発を招く可能性が高くなります。

 よくよく検討を行い、自分は本当にこれを持って出なければ困ることとなるのかを見極めることをお勧めします。

 次回は、別居後に夫婦間で最も敏感な問題になると思われる要素、即ち子どもの監護について触れてみようと思います。