みなさん、大きな台風の後はすっかり涼しくなり、行楽にもってこいのシーズンになりましたね。
 みなさんの中にも、お子様を連れて釣りに行きたいという方がおられるかもしれません(毎回魚ネタで申し訳ありません)。秋のファミリーフィッシングといえば、サビキ(疑似餌のついた針が5~6本ついた仕掛け)によるイワシ・アジ釣りなのですが、少なくとも関西の方、今年は控えた方がよさそうです。

 というのも、今年の大阪湾はあまりアジが釣れていないようだからです。私が実際に見た感じでも、お子様連れのお父さん、大変苦戦しておられますよ。

 ですので、サビキの仕掛けの他に胴付仕掛け(針が2~3本出ていて、一番下にオモリをつけるようになっている)を持っていき、エサもオキアミブロックだけじゃなくて刺しアミ(針に刺すための大きめのオキアミ)や青イソメを買ったほうがいいでしょう。今、神戸あたりの漁港では、胴付仕掛けでサンバソウ(イシダイの子ども)やカワハギが釣れます。いずれも見た目がかわいらしいですし、食べてもおいしい魚なので、お子様も大喜びです。もっとも、アイゴやハオコゼなどの毒魚も一緒に釣れますので、それらの魚には絶対にお子様が手を触れないように気をつけてくださいね。

 と、前置きはこのくらいにして、今回は縁起の良くない話です。要するに、監護者指定審判や、親権争いに負けてしまい、ついに面会交流も・・・というパターンです。

 「え、なんで私が子どもに会うことすらできないの?!」と思われるかもしれませんが、たまに面会

 交流調停の申立てをすると、調査官に「直接的面会交流は好ましくない」、「試行的面会交流もやめておいたほうがいい」なんて報告書を書かれることがまれにあります。

 当職も、単に報告書を書かれたぐらいで引き下がりはしないのですが、頑張って報告書に食いついてもダメな場合はあります。さすがに、DV等がない事案で「面会交流一切ダメ!」なんて報告書を書くのも気が引けるのか、調査官は、「直接的」面会交流は好ましくない、「間接的」面会交流がよい、などと書きます。そうです、今日は、面会交流調停を申し立てたら調査官に「間接的面会交流が望ましい」などと報告書を書かれてしまった場合について、です。

 その前に! ついに面会交流について明文化されるようになったようですね。みなさんはご存知でしたか?

 民法等の一部を改正する法律案が今年の5月27日に可決・成立し、6月3日に公布されました。施行は「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日」です。ということは、遅くとも来年の6月2日までには施行されますね。では、その面会交流明文化の内容です。

民法第766条 第1項
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

 どうでしょうか、下線部が改正箇所です。条文をよく読むと、面会交流だけじゃなくて養育費も明文化しているようですが・・・何はともあれ面会交流です。「面会及びその他の交流」となっていますが、通常の面会交流が「面会」、そして間接的面会交流が「その他の交流」にあたるものと思われます。何と、直接的面会交流だけではなく、間接的面会交流まで一気に明文化されてしまったのですね。

 とはいえ、「間接的面会交流」って何だよ?と思われるかもしれませんので、具体例を挙げると、子どもと手紙やメールの交換をすることや、監護親が非監護親に子どもの写真、ビデオを送付したり、子どもの学業についての報告等をしたりする(例:通知表をコピーして送る)ことなどです。要するに、直接会うのではない形で親子が交流することです。

 「あれ、電話は?」という疑問を持つ方もおられるでしょう・・・確かに、電話でお話をするのも間接的面会交流に入るはずなのですが、敢えて書かなかったのです(審判例にもあまりないようです)。電話みたいに、隠れて同時に双方向で交流できる手段となると、親同士や親子でもめる確率がグンと上がります(携帯電話のメールなどでもそうですよね、きっと)。監護親が、「元夫(妻)め!こそこそ子どもと連絡をとりやがって、ケシカラン!!」、「こそこそあいつと連絡を取る子どもも信用ならん!」なんて(実話)。恐ろしい。ですので、調停で電話は提案しません。「じゃあ、元妻の見ているところでテレビ電話とか・・・」などと言わないで下さいね。それでは直接的面会交流とあまり変わりません(笑)。

 じゃあ、どうしましょう。文通とか写真・動画とかだけでしょうか。ちょっと淋しくて芸がないですよね。私が最近考えたのは、交換日記というものです。実は現時点でまだ提案したことはないのですが、結構いいんじゃないかと思っています。

 交換日記・・・そう、あれです。最近の子どもがやっているのかどうかは知りませんが、当職も小学生のころ友達とやっていました。中学に上がったらやりませんでしたが、周囲はぼちぼちやっていたようです。ともかく、その昔主に小中学生女子同士でやっていた交換日記というやつですが、手紙と違ってちゃんと一冊のノートにまとまるのがいいと思うのです。また、子どもの書いた文章に、赤ペンか何かでラインを引いて、「よくやった!」「すばらしい!」「これは何?」とか、コメントできるのがいいですよね。学校の先生のように、「もっと頑張りましょう」「誤字脱字に気をつけて」などとやるのはよろしくありません(笑)。逆に、お子さんに、「仕事ってどんな仕事?」、「この字、読めないし意味不明だよ」なんて書いてもらうのもいいでしょう。

 気をつけなければいけないのは、あまり子どもの負担にならないようにする、ということです。子どもにとって、毎日日記をつけることはもはや苦行ですから、回数や内容は考えましょう。仮に月に1回日記当番が回ってくるとして(この場合ノートが月に1往復することになります。半月交代といったほうが分かりやすいでしょうか)、文章を書くことが苦手なお子さんには「今月の面白かったことベスト5を教えて! お父さんも書くぞ。5位:会社の運動会でお父さんが徒競争で1位になった。 4位:社長がクシャミをして入れ歯を飛ばした。」などと箇条書きで何か書くように仕向けるのもいいかもしれません。

 量的に子どもの負担になってはいけないのは当然ですが、質的にも負担になってはいけません。まさか書かないでしょうが元妻の悪口とか職場の愚痴とか、ヘビーな下ネタとかはだめですよ。子どもがコメントしようがありません。お母さんにもお見せできないし。

 交換日記は、子どもに負担にならないで、しかもお互いが楽しめるように工夫できるツールだと思います。絵の得意なお子さんには、「何も見ないでライオンの絵が描けるか? お父さんのはこれだ→(イラスト)」などと。いくらでも工夫し放題です。子どものころに交換日記で遊んだ経験のある人は分かると思うのですが、段々グループ間で日記当番が義務化してだるくなってしまったときに、私は何か企画を発案して再び盛り上げようとしました(多分)。同じことをお子さんとの間でもやればよいのです。

 それで、ノートと一緒に、お子さんの写真やDVDに焼いた動画なんかを送ってもらったりしてね。ノート、確かに手紙よりはかさばりますが、いつの間にかお子さんの宝物になるかもしれませんよ!

 長々交換日記の話をしてしまいましたが、間接的面接交渉に話を戻すと、永遠にお子さんに会えないわけではありません。よほどあなたがお子さんに暴力をふるうなどの虐待をしていたら別ですが、通常は「この先ずっと間接的面会交流しかダメ」と判断をされることはなく、「当分の間間接的面会交流」という報告書が出るはずです。

 この「当分の間」を暫定的に1年間にしてよ!という主張もできますよね? 目標があれば希望も持てるというものです。間接的面会交流しかダメという判断が出てしまったのは、一応、あなたとの面会交流が子の福祉に悪い影響があると調査官に思われてしまったためですので・・・その「当分の間」、その悪影響をなくすように努力したよ、ということを形にして示せばいいと思うのです。

 ですから、やはりそれを形にできる交換日記、オススメですよ(証拠化する場合には定期的にコピーを取っておいた方がノートごと紛失した場合等のことを考えると良いでしょう)。「当分の間」が過ぎたのを見計らって、もう一回面会交流調停なり審判なり(仮処分もできるようですが、あまり実務では見ませんね)やってみましょう!

弁護士 太田香清