こんにちは。雨の週末、いかがお過ごしでしたか。

 私は先週末、「奇跡」という映画を見ました。ストーリーは、離婚して鹿児島で母と暮らす兄と福岡で父と暮らす弟が、九州新幹線をめぐって繰り広げる二日間の冒険物語、とでもいいましょうか。これから見る方もいると思いますので、ストーリーに深入りはしませんが、「離婚ときょうだいの分離」という、ちょうど私が今扱っている事案と同じ状況があるということもあり、どうしても私の扱っているケースと重ねあわせて見てしまいました。

 映画では、兄弟それぞれの離婚・別居に対する気持ちに温度差があり、兄は、もとの4人家族で一緒に住みたいと考えており、他方で、弟は、両親が一緒に住んでけんかするぐらいなら一緒に住まなくてもいいと考えているようでした。

 裁判所の手続きにおいては、「きょうだい不分離」という原則があります。離婚(別居)後、きょうだいは両親に分離されて育てられるよりも、どちらか片方の親の下で一緒に育てられる方がよいという考え方です。その理由は、きょうだいは一緒に暮らすことでお互いに得るものがあり、人格的に成長するから、ということです。

 しかし、これを絶対の条件としてしまうと、子どもたちにとって不自然な状況になりかねません。

 たとえば、私が今扱っている事案では、現在、長男が父と、長女と次女が母を暮らしています。父も母も、3人の子どもの親権をほしいと思っています。子どもたちは、互いに、お兄ちゃんと会いたい、妹と会いたいと思っているようです。そうすると、きょうだい不分離の原則にのっとって、どちらかの親に3人の子どもすべての親権を集めるのが妥当なようにも思われます。しかし、子どもたちは、どうも、自分が一緒に暮らしている親のことを、とても気遣っているようです。「きょうだい不分離」を貫いてしまうことは、子どもたちの親に対する気持ちに水を差すことになりはしないかと思います。

 映画では、兄弟は一緒に暮らすべきとも、別々でいいとも、何とも言っていません(それがテーマではありませんし。)。しかし、兄も弟もそれなりに新しい環境を楽しんでいました。この映画の設定でラッキーなのは、両親が子どもを取り合わなかったことでしょう。親が、子どもたちの意見を聞いて、子どもたちをどうするか決めたからこそ、兄弟が二人ともそれなりに楽しく暮らせるようになったのかな、と思います。

 いずれにせよ、子どもたちにとっては、自分がどちらの親に育てられるのかが決まらないと、とても不安でしょうから、夫婦間で裁判所の手続きをとって、きちんと結論を決めることは大切なのではないでしょうか。