早いもので、もう8月も半分過ぎましたが、暑さはまだまだ和らぎませんね。今回は、監護者の変更についてお話させていただこうと思います。
離婚をするにあたり決定した監護者を、後日変更するためには、「子の利益のため必要があると認めるとき」でなければいけません(民法766Ⅱ)。
監護者の変更は、親権者の変更の場合に家庭裁判所に調停又は審判をしなければならないのとは異なり、父母の協議によってすることができます。ただし、協議によってまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判によって変更することになります。親権者と違い、戸籍への記載をする必要はありません。
監護者を変更することが必要になるのは、例えば親権者であるにもかかわらず、実際には養育・監護をしていない場合や、親権者が子に暴力を振るったり虐待をするなど、親権の濫用をする場合、親権者に著しい非行が認められる場合などがあります。
監護者の変更の要件である「子の利益のため必要があると認めるとき」の判断ですが、基本的には親権者変更の判断基準と同様に考えてよいでしょう。すなわち、親権や監護権に服する子の利益及び福祉の増進が見込めるか否かという点から、監護者としての適格性について判断することになりますが、一度は監護者となった親から変更するわけですから、その後の事情変更が重視されることになります。
たとえば、監護者となった親と一緒に生活している子が、成長していくうちに当該監護者との生活を嫌い、もう一方の親との生活を望むようになった場合、子の意思を尊重して監護者を変更することが認められる場合があります。
ただ、他方で、一度監護者が決まっているということは、それまで監護者との生活が継続しているわけですから、あえて監護者を変更する必要はないと判断される傾向があります。したがって、監護者の変更は決して容易とはいえません。