「奥さんが子どもを連れて家を出てしまった。子どもに会いたいと言っても会わせてもらえない・・」。
 このような場合、子供に会わせてもらうためにはどうしたらいいでしょうか。

 奥さんの言い分としてよくあるのは、「子供が会いたくないと言っている」「パパに会うとその後で体調が悪くなる」というものです。こう言われると、お父さんは、「いや、そんなはずはない」「お前が言わせてるんだろう」と言い返し、結局両者の折り合いがつかず、大きな争いになってしまいます。

 このように、監護親が非監護親からの面会交流の要求を拒否しており、当事者同士の話し合いではらちがあかない場合、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てて、裁判所での話合いを求めることができます。もし、調停で合意できなければ、審判で決めることになります。

 面会交流は、子どもの心身と親子の人間関係に関するデリケートな問題なので、家庭裁判所の手続きにおいては、通常、その方面を専門的に扱う家庭裁判所調査官が関わり、現在の子どもの状況や、申し立てた親と子どもの関係を調査します。

 面会交流によって子どもが深刻なストレスを受けることが予想される場合は、面会交流は子の福祉に反する恐れがあると言わざるをえないため、回数と時間を控えめに設定するとか、方法を工夫する等の配慮が必要になります。例えば、面接に変えてビデオ・写真を送ったりすることが提案されることもあります。

 また、監護親が非監護親の子への態度や連れ去りに不安を抱き、面会交流を拒否しているような場合は、家庭裁判所で面接の場を提供したり、調査官が付き添ったりすることもあります。

 調停や審判で面会交流を決める場合、「一ヶ月に一回程度、具体的な日時と場所は、その都度協議して決める」というような、一般的な表現になることが多いです。

 このような定め方をしておけば、子どもの体調や行事があっても柔軟に対応できる半面、面会交流に消極的な監護親にとっては、「体調が悪いから」とか「行事があるから」と言って子どもに会わせない口実になってしまいます。

 そのため、せっかく調停で面会交流の方法を決めても、お互いが親同士として子のために協力する気持ちがない限り、面会交流の取り決めは絵に描いた餅になってしまうことが多く、大きな問題であるといえます。

弁護士 堀真知子