離婚をする際に、子どもがいれば、親権者を決めるとともに、通常、養育費についても取り決めをします。しかし、その後、収入が減少するなどして一度決めた養育費の支払いが難しい場合には、民法880条に基づいて減額変更することができます。

 民法880条は「扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。」と規定していますので、養育費の減額変更には、事情の変更が必要になります。

 この事情の変更とは、①前審判または協議の際、考慮されその前提ないし基準とされていた事情または当事者が予見し得た事情が後になって変わり、②現在の扶養関係をそのまま維持することが当事者のいずれかに対しても、もはや相当でないと認められる程度に重要な事情の変更を言います(福岡高裁宮崎支部昭和56年3月10日決定)。

 具体的には、支払義務者が、別の相手と再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組をした場合、支払義務者の収入が著しく減少し、支払義務者が再婚をした場合などです。このように、収入の減少や新しい家庭ができたという事情があれば、事情の変更があると認められるようです。

 もっとも、必ずしもこのような事情がなければ、養育費の減額変更が認められないわけではないようです。東京家裁平成18年6月29日決定は、協議離婚の際に公正証書によって、2人の子どもについて合計14万円の養育費を支払うとの合意がある事案で、次のような事情を考慮し、養育費の減額を認めました。

 14万円の養育費が、標準算定表による算定額の2倍以上であり、支払義務者の収入からして支払い続けることが困難であること
 公正証書作成当時、離婚後も当分の間、同居生活を継続する予定であったが、継続できなかったこと
 支払義務者が養育費の支払いに充てるために両親から受けていた援助が、実際には他人からの借入であったこと

 このように、収入が減少したという事情や新しい家庭ができたという事情はなく、しかも、ⅰの事情は、公正証書作成時から存在していたようにも思える事情であり、上記事情の変更の定義の①にあたりません。

 おそらく、裁判所は養育費の公平な分担ということを重視したため、上記のような事情しかなくても養育費の減額を認めたのだと思われます。