離婚調停では、離婚以外にも、親権者指定、財産分与、養育費、慰謝料なども問題になることが多いです。では、離婚調停で離婚以外に親権者指定などの問題があるときに、離婚については合意に至っているが、それ以外の問題について合意に至っていない場合に、調停は不成立になってしまうのでしょうか?
このような場合でも、調停委員が、合意が成立した一部の事項について調停を成立させるのが相当であると判断したときには、合意が成立した一部の事項について調停を成立させることができます。例えば、離婚と親権者指定だけ、合意が成立していて、財産分与、養育費、慰謝料について合意が成立していない場合、離婚と親権者指定についてだけ調停を成立させることができます。
では、合意が成立しなかった財産分与、養育費、慰謝料についてはどうなるのでしょうか?
通常、財産分与、養育費は乙類審判事項(家事審判法9条1項)になりますので、各事項について単独で調停の申立てをして合意に至らなかった場合には、調停から審判に自動的に移行します。
そうすると、離婚と親権者指定だけ合意しているような場合も、財産分与と養育費については審判に移行するようにも思えますが、このような場合は、財産分与と養育費について別途審判の申立てをすることになります。
慰謝料については、訴訟提起をするか、慰謝料的財産分与といえる限度で財産分与の審判の中で判断してもらうことになります。
弁護士 竹若暢彦