こんにちは。
本日もまたまた監護者指定の話です。
監護者指定・子の引き渡し審判の申立をするときに、よく、「審判前の保全処分」という手続きも同時に申し立てます。これは、監護者指定・子の引き渡し審判の本体(「本案」といいます。)の結論を最終的に出すまでの、仮の処分として、「申立人を仮に監護者と指定する。」「未成年者を申立人に仮に引き渡せ。」という処分を求めるものです。
本案と保全の争点は重なることも多く、そのせいか、本案と保全を申し立てても、裁判所の判断で「本案と保全と同時に進めていきましょう。」と言うことになることが多いです。
しかし、先日、珍しく(少なくとも、私が今手がけている監護者指定関連の事案の中では珍しく)、「まずは保全のみについて調査をしましょう。」という判断がされました。
本案と保全と同時進行する場合と、保全のみ先行して調査する場合と、どのような違いがあるかというと、保全はあくまで、「現在」、早急に子どもを現在の環境から離して申立人に引き渡したり、申立人を監護者として引き渡す必要性があるかどうかという視点から調査がなされます。
たとえば、子どもが虐待されていたり、放置されていたりしたら、早急にそのような環境から子どもを救い出す必要がありますよね。これに対して、本案と保全と同時進行する場合は、現在どうであるかだけでなく、監護者としての適格性など、今までの育児の経緯や将来的にも(少なくとも離婚までの)安定した環境を維持できるかという視点からも調査がなされます。
調査には家庭訪問がつきものです。家庭において、子どもの様子を見て、見るからに子どもに問題がありそうなら、保全の必要性ありという調査結果となることもありえます。しかし、実際には、一度の家庭訪問で、「早急に子どもを引き渡す必要性あり」かどうかを判断するのは難しいです。当然、調査官も慎重になります。
保全のみの調査がなされるのも、保全の命令が出されるのもハードルは低くはないです。ただ、保全のための調査は、すぐに行ってもらえ、調査結果をすぐに見ることができるので、申立人としては、相手方の下にいる子どもの様子を早く知ることができるという点は、大きなメリットとなりますので、ハードルが高いとしても、保全を申し立てる価値はあるように思います。