先日、離婚の法律相談で夫がある宗教を信仰していて、その宗教があやしい活動をしており、子供がその宗教活動に引き込まれるのが嫌だから子供の親権を夫に渡したくないという相談を受けました。

 このように配偶者の信仰する宗教があやしい活動をしていて、子供がその宗教活動に引き込まれるのを避けたいからといって親権を自分の方に持ってくることができるのでしょうか?

 このような問題について直接判断した判例や裁判例は見つかりませんでした。そこで、離婚との関係で配偶者の宗教活動が問題になった判例や裁判例を探してみたら、配偶者の宗教活動が離婚原因となるかが問題となった裁判例がありました。

 離婚原因に関する裁判例では、配偶者の過度の宗教活動が離婚原因になると判断したもの(東京地裁平成9年10月23日判決)、また反対に離婚原因にならないと判断したもの(名古屋高裁平成3年11月27日判決)双方ありました。そうすると、子供の親権との関係でも事情によって判断が変わってくるのではないかと思います。

 配偶者にも信教の自由がありますので、基本的には配偶者が宗教活動しているという理由だけで親権の決定がなされることはないと思います。ただし、配偶者の宗教活動が子供の福祉に悪影響を与えるものである場合は、親権決定の際の考慮要素にはなるのではないかと思います。

 つまり、親が宗教活動をすることで、子供に肉体的精神的なダメージを与える恐れが高いような場合には、その親に親権を与えないという判断がされる可能性もあるのではないかと思います。

弁護士 竹若暢彦