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あなたが、彼氏が既婚者であるということを知ったあとすぐに交際をやめた場合には、慰謝料を支払わなくていい可能性があります。

法的な責任を問われるのは、その行為について何かしら不注意な点があった場合

 まず、既婚者である人と交際し、性的関係を持った場合は、その行為は不貞行為となり、交際相手の配偶者に生じた損害を賠償する責任が生じるのが原則です。この責任は法的には不法行為責任といい、彼氏の妻からあなたへの請求は、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求といいます。

 ところで、民法には、過失責任の原則というものがあり、自らの行為の責任を問われる場合には、自らの行為について過失(あるいは故意)がある場合でなければならないとされています。簡単にいうと、法的な責任を問われるのは、その行為について何かしら不注意な点があった場合に限られるということです。

 ですから、あなたの場合は、不法行為に基づく損害賠償の成立には、あなたが、彼氏が既婚者であることを知っていたか、不注意により知らなかったという事実が必要になります。そのため、内容証明郵便が届くまでは、他にあなたが彼氏が既婚者であることを知ることができた(不注意により知らなかった)特別の事情がない限り、あなたは彼氏が既婚者であったことについて知らなかったので、責任を負うことはないといえます。ただし、内容証明郵便が届いた後、遅くとも彼氏に既婚者であることの確認を取った後には、この主張はできません。あなたが、彼氏が既婚者であることを知った後も男女としての交際を継続していた場合には、残念ながらあなたに損害賠償責任が生じうることになります。

 また、彼氏の婚姻期間は半年とのことですが、裁判所の取り扱いでは、婚姻期間が長ければそれだけ慰謝料の額も増加するのが一般的です。裁判所は、婚姻期間が長く続くとそれだけ家庭内の平和が安定し強固になると考えているものと思われます。逆に、婚姻期間が短ければ、慰謝料の減額要素となります。裁判所は、概ね婚姻期間が3年以下の場合、慰謝料の減額要素として考慮する場合が多いようです。あなたの場合は、彼氏の婚姻期間が半年と、短いと判断される可能性が高いので、仮にあなたが彼氏の妻に慰謝料を支払わなければならない場合でも、減額される可能性があります。

 いずれにせよ、慰謝料を払う、払わないの判断や、払うとしてもいくらが適正なのかは、個々の事情について詳細な検討を経なければわかりません。万一、慰謝料請求をされるようなことになったらお早目に弁護士に相談することをお勧めします。