夫婦の間に子どもがいる場合、別居中又は離婚後、夫婦の一方が子どもを引き取って育てることになります。
別居中または離婚後、子どもを監護養育していない親(以下、子どもを監護している親を「監護親」、子どもを監護養育していない親を「非監護親」といいます。)が子どもと面会などを行うことを、面会交流といいます。
監護親が任意での面会交流に応じない場合、非監護親としては、面会交流調停を裁判所に申し立てる手段をとることが考えられます。非監護親との面会交流が子どもの福祉や利益を害することがない限り、調停や審判によって定期的な面会が認められます。
調停又は審判と述べましたが、親族間の問題はできるだけ話し合いで解決するのが望ましいとの考えより、話し合いでの解決を目指す調停を申し立てが一般的ですし、審判を申し立てたとしても調停に付されるのが通常です。
調停では、家庭裁判所の「調査官」による調査が行われて、子どもの面会交流についての考え等を調査したり、裁判所において「試行的面会交流」を行ったりすることがあります。「試行的面会交流」では、壁の一部がマジックミラーになっている部屋で子どもと非監護親が面会交流を行い、その様子を監護親や調査官が観察します。調査官は、調査の結果を書面で裁判所に報告します。
監護親及び非監護親は、調査官の作成した調査結果を参考にして、今後の面会交流の実施方法を話し合っていくことになります。
また、夫婦間で面会交流を行うことについては争いがなくても、第三者の協力を得ないと実施が難しいケースがあります。親戚などの協力を得られれば良いのですが、それも困難な場合は、面会交流の支援を行っている団体の利用を検討します。エフピック(FPIC)という団体は規模が大きく、実際に調停を行っていてよく耳にします。エフピックでは、有料で、カウンセリング、面会交流日時や場所の調整、子の受け渡し、面会交流の付き添いなどを行っています。
面会交流の調停で、第三者の協力を得る必要があると考えられるケースでは、このような団体の利用を含めて話し合われます。
先ほど「子どもの福祉や利益を害する」ことがない限り、面会交流が認められると述べました。「子どもの福祉や利益を害する」かどうかの判断をする際には、子どもの事情(子どもの意思、年齢、性格、生活環境、非監護親との関係等)、監護している親の事情(DV事案ではないか、子を奪う危険がないか等)等様々な事情が考慮されます。
調停では、このような事情について意見を出し合い、面会交流の実施を検討します。
面会交流は、ときには感情的な問題が絡み合ってきたりして、かなり複雑化することがあります。子どもとの面会交流が拒否されてしまった方は、弁護士への相談や面会交流の調停の利用を検討してみてください。