4 面会交流における注意点

 以下、私が依頼者や相手方の面会交流の実現をサポートするにあたって、実際に生じる面会交流における注意点を挙げていこうと思います。

⑴ 子どもの体調面には最大限配慮すること

 非監護親は普段子どもと一緒に過ごしていませんので、子どもと長い時間一緒にいたいという気持ちが強いことが多いです。しかし、子どもには毎日の生活リズムがあり、その生活リズムは非監護親が思っているよりも大事にすべきで、夜8~9時頃に就寝するような生活をしている子も多いので、このような生活リズムへの配慮は必要です。

⑵ 子どもと一緒に暮らしている監護親への配慮をすること

 誕生日やクリスマス以外の日に、普段では買い与えないようなおもちゃを買ってあげたり、お小遣いをあげたりすることは、十分な養育費を受け取っていなくて子どもに良い思いをさせることのできない監護親から反感を持たれることも多いです。
 そこで、上記のようなことをする場合には監護親の承諾を得てから行うようにするということが必要です。

⑶ 子どもと一緒に暮らしていない非監護親への配慮をすること

 非監護親は子どもの情報を知る機会がないので、監護親からの情報提供等してあげる必要があります。これは、そのような情報提供がなければ面会交流時に非監護親が子どもに聞くこととなりますが、子どもによってはそれが重荷になったり、不安になったりすることもあるということです。
 例えば、子どもが絵のコンクールで入選を果たした場合に、非監護親から「絵、うまかったな」と言われると子どもとしては次もがんばろうと思ったり嬉しく思ったりするでしょう。しかし、非監護親がその情報を知らず、子どもがそのことを言わなければ、子どもとしては、なんで非監護親は入選のことを知らないんだろうと不信に思うことがあります。

⑷ 子どものせいにしないこと

 一方の親が「子どもが『北海道に行きたい』と言っている」などというと、他方の親が子どもに対してそのように言った事実があるかどうか確認することになります。
 しかし、子どもは親に、自分に対して悪感情を持ってほしくなく、現に話している親に迎合的に発言しがちであり、その一瞬一瞬で言ったことをわざわざ蒸し返して話されると、子どもは父と母の板挟みになり非常に気まずい思いをすることになるでしょう。
 ひいては、そのような思いをしないように、面会交流にも消極的になりがちです。

⑸ 面会交流の約束事を守ること

 次回の面会交流の約束をしないということや、離婚原因の話はしないということは円滑に面会交流を実現するためには必須の約束事かと思われます。    非監護親が何気ない一言で、「今年も北海道行くの楽しみやな。」という発言をすることもやめておいた方がいいでしょう。なぜなら、そのような発言をすることで、実際に北海道に行きたければ子どもが期待することになり、仮に北海道に行けなければ非常に落胆することになるからです。また、実際に北海道に行きたくない場合にも、子どもは現に話している親に迎合的な発言をしがちであるので、「楽しみ」という発言をして、それを重荷に感じることが多いからです。

⑹ 双方の親は、子どもに対して、相手方の悪口を言わない、相手方の様子を聞かないこと

 子どもは基本的に両親のことが好きで、一方が他方の親の悪口を言うのを聞きたくないものです。
 例えば、もともと掃除の苦手な母親で、父母はそれがきっかけでいつも喧嘩をしていた場合、非監護親である父が「お母さんはちゃんと掃除しているのか?」というような質問をすることは、離婚の件で気まずい思いをしている子どもがより気まずい思いをすることになるということは明らかです。

 以上、面会交流上の注意点をつらつらと述べてまいりましたが、真に私がいいたいことは以下の点に集約されます。
 これから離婚をする夫婦は夫と妻としては互いを信頼できず離婚を選択することになりましたが、子どもにとってはあなたがたが唯一の父と母です。自分たちの身勝手で子どもを不幸にするのではなく、子どもが成長して一人前になるまでは、今度は子どもの父と母として互いを信頼し、子どもの幸せを一番に考えて離婚協議に臨んでください。