こんにちは。
 たしか一年前にもこのブログで「財産分与」のお話をさせていただいたと思うのですが、最近の離婚協議、離婚調停においてもやはり財産分与で争いになるケースが多いのでまた少しお話ししたいと思います。

 財産分与でなかなか当事者の合意がまとまらず調停が1年を超えてしまうケースは少なくありません。
何がまとまらない原因かと言いますと、色々あります。

 例えば婚姻期間が長いご夫婦で、一方が結婚前からの預貯金が1000万円あったので返してほしいと主張したとします。婚姻前から持っていた預貯金は固有財産とか特有財産と言い夫婦の共有財産とは別個に扱われます。
 しかし、相手がそうだと認めてくれない場合婚姻前から1000万円を貯金していたことを資料を出して証明する必要があります。銀行に取引履歴を出してもらえればいいのですが、銀行の書類保持期間は長くても10年ですので、それより前となると証明が難しくなってしまいます。

 また、財産分与の対象財産に有価証券が含まれる場合も、解決に時間がかかることが多いです。
投資の元手がいくらあってその後いくらの財産として残っているのか、また、有価証券の所持者の才覚によって財産が増額した額を主張された場合にも、財産分与の対象部分をどう考えていくのか争いになります。

 そして、夫婦が婚姻生活中に生活していた家が持家で、オーバーローンの場合にも問題を生じ得ます。
当該不動産を売却するのであれば、売却の代金でまずローンを返して残債務についてどう負担するのかが問題になります。夫婦の一方が住み続ける場合には、住宅ローンは原則として元々の債務者が支払い続けることになりますが、その場合の財産分与にこの債務分をどう反映させるかも解決すべき問題です。

 さらに、難しいのは、相手の財産を把握できていない場合です。夫婦の一方が、どこかの銀行に口座を持っているはずだけれどどこの銀行の何支店か口座番号も不明という場合も、なかなか探し当てることが出来なくて難航することが多いのです。